生成AI探索的テスト:ソフトウェアQAにおける外部想像力としてのAI

このブログは「Exploratory Testing with GenAI: How AI Becomes an External Imagination in Software QA」を翻訳・一部加筆したものです。
 

 iconmonstr-linkedin-3 Maaret Pyhäjärvi – Director, Consulting, CGI

  • 役割:CGI 社のグローバルソフトウェア開発およびQAチームにおけるテスト分野でのAI駆動型能力の拡大。
  • 重点領域:QA戦略、実践的なテストプロセス、テスト計画、および実行。
  • 視点:生成AIがQAタスクの日常業務を現在支援してきている実践的な知見を提供。実用的で軽量な導入を提唱。

「AIは私の外部想像力だと考えています」

ソフトウェア開発におけるAIについて語られる際、自動化や生産性、スピードに焦点が当てられることが多いです。しかし私にとって、AIはより深く、より個人的な存在へと変化しました。それは想像力を育むものとなったのです。単なる作業の道具ではなく、異なる思考を可能にするツールなのです。

研究から実践への道のり

私のAIとの関わりは、6年前にある方が私が関わっていた研究プロジェクトに360万ユーロという大胆な資金提供を決断されたことから始まりました。「誰かが私に360万ユーロという適切な金額を提供すると判断してくれたのです」と、パネルディスカッションで私は微笑みながら振り返りました。この助成金により、AIがトレンドとなるずっと前から、テスト分野での活用方法を自由に探求する機会を得たのです。

それ以来、私は入手可能なあらゆる新しいAIツールを積極的に試すことを心がけてまいりました。GitHub Copilotもリリースから1週間以内に使用を開始し、面接の場面で活用したほどです。

ソフトウェア品質におけるAIの活用:自動化を超えて、探求へ

私が現在取り組んでいるAIの活用は、コードを生成することではなく、洞察を生み出すことにあります。ソフトウェア品質作業の中でも特に人間中心的な側面である探索的テストを支援するため、ChatGPTを頻繁に活用しています。アプリケーションのスクリーンショットを見せたり、UI要素のリストを提供したりして、次のように尋ねます。

「ここで何か気づくことはありますか? 何かおかしい点はありますか?」

その結果は驚くべきものです。時には人間の同僚が気づくよりも優れた指摘がなされることもあります。「まるで外部の想像力のようなものです」と私は言いました。「ChatGPTは、自身が気づいた点と私やチームが気づく可能性のある点を比較し、新たな視点を探求する手助けをしてくれるのです」

安全かつ拡張性の高い生成AI品質保証:CGIの社内ツール

CGIでは、Ollama経由で利用可能なローカルLLMを、自社データを危険にさらすことなく安全に利用できるよう、独自の生成AIアシスタント「CGI Navi」を開発いたしました。多くの開発者がオープンソースモデルの実験を希望している一方で、安全かつ隔離された環境での実施が必要であることに気づきました。

これにより、テスターや開発者は生成AIツールを以下の業務に統合できます:

  • GUIテストワークフロー
  • 要件分析
  • 回帰テストレビュー
  • テストデータ生成

とはいえ、私はオープンソース全般を強く推奨しています。現在お気に入りのツールの一つがTestzeus Herculesで、Gherkinで記述するだけで完全自動化されたテスト結果を取得できます。「ウェブサイトの操作方法を理解してくれます。完璧ではありません。まだ完全に信頼しているわけでもなく、時折予算を超えることもありますが、非常に興味深いツールです。」

コードより意図を重視:AI支援QAにおける人間の判断の役割

GitHub Copilotのようなツールのコード生成機能は確かに便利ですが、私は常に一つの真実に立ち返ります。

「コードは常に意図に従います。だからこそ、私にとって意図の方が重要です」

AIはテストケースの作成、UIの分析、テストレポートの草案作成を支援できますが、何をテストすべきかを決めるのはあなただけです。テスターの仕事はもはや機械的な実行ではありません。重要なのは、適切な質問を投げかけ、効果的なプロンプトを設計し、創造的に探求することです。

ですから、AIがテスターに取って代わることはありません。むしろ、熟練したテスターに求められる水準を高めているのです。真の価値は、これらのツールを用いて思考を深化させ、検証範囲を拡大し、より優れた質問を投げかける方法にあります。

「その真価が発揮されるのは、人間のスキルを置き換えることではなく、それを拡張することにあります。」

今あるところから始めましょう

生成AIをどこから始めればよいかと尋ねられると、私はいつもこうお答えします ー まずはご自身の業務から始めてみてください。完璧なツールを探し求めるのではなく、ご自身に問いかけてみてください ー

「毎日どこで4分間を無駄にしているだろうか?」

テスト実行の記録かもしれません。UIオブジェクトマップの更新かもしれません。繰り返しの多い探索的テストのメモ作成かもしれません。まずはそこから始めてみましょう。面倒な作業を生成AIで自動化し、創造的なテスト設計、リスク分析、真の探索に集中できるようにしましょう。

品質エンジニアに戦略性、洞察力、適応力が求められる現代において、AIそのものがあなたを置き換えることはありません。しかし、AIを活用する誰かがそうする可能性は十分にあるのです。

ですから、ロードマップやツールセットが手渡されるのを待つ必要はありません。日々の業務を見つめ直し、改善を始めましょう。一つずつ、プロンプトから。

テスターおよびQAリーダー向け要約

  • AIは自動化のためのものではありません。探索的思考のツールとして使用できます。
  • ChatGPTやCopilotのようなツールは、テスト中に新たな視点を提供する外部からの発想力として機能します。
  • 特に探索的テストにおいて、生成AIを活用してUIの欠陥を発見し、エッジケースを浮き彫りにし、テストカバレッジを拡大しましょう。
  • AIの真価はその導き方にあります ー 意図がコードよりも重要です。
  • 完璧な解決策を待つ必要はありません。まず自問してください ー「1日4分をどこで無駄にしているか?」。そこがAIの支援開始点です。
  • 目的はテスターの代替ではありません。熟練テスターが達成できる可能性の限界を引き上げることにあります。

このブログは、QAとテスト自動化の専門家による連載の一部です。執筆者は、Qt GroupのPrincipal Product ManagerであるPeter Schneider氏、CGIのDirector of ConsultingであるMaaret Pyhäjärvi氏、Ignite by FORVIA HELLAのCTOであるFelix Kortmann氏です。彼らは、現代のテスト戦略、自動化フレームワーク、ソフトウェア開発における品質保証の役割について、豊富な経験と独自の視点をもたらしています。

今後の予定

Peter Schneider, Principal, Product Management at Qt Group
Maaret Pyhäjärvi, Director of Consulting at CGI
Felix Kortmann, CTO at Ignite by FORVIA HELLA

 

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