Qt Creator 18 リリース

このブログは「Qt Creator 18 released」の抄訳です。
Qt Creator 18 のリリースをお知らせします。

本リリースでは、開発コンテナの実験的サポートをはじめ、数多くの改善が加えられております。

開発コンテナのサポート

devcontainer2_s-1

Qt Creator 18 では、プロジェクトの開発環境設定を自動化する開発コンテナのサポートが追加されました。プロジェクトディレクトリ内の「devcontainer.json」ファイルを検出し、それに基づいて Docker コンテナを作成します。Qt Creator では、キットの自動検出を有効にしたり、カスタムキットを指定したり、開発コンテナ定義内の Qt Creator 独自のカスタマイズでコマンドブリッジ(リモートデバイスとの通信サービス)などの他の側面を制御したりできます。なお、これはまだ実験的機能であり、開発コンテナのすべての側面をサポートしているわけではありません。この機能をご利用になるには、拡張機能を有効にしてください詳細はこちらをご覧ください。

UI全般

Welcomeモードに、他のタブのコンテンツを集約したOverviewタブを追加いたしました。お客様の経験やニーズに基づいたチュートリアルやサンプルを提案し、Qtブログ内の開発者向け投稿をハイライト表示します。

通知機能はデザインを一新し、進捗通知ポップアップの一部となりました。環境設定 > インターフェース > Prefer banner style info bars over pop-ups (ポップアップよりバナースタイルの情報バーを優先する) でこの表示を無効にできます。

編集機能

editor_tabs

タブ付きエディタの使用オプションを追加いたしました(環境 > インターフェース > Use tabbed editors (タブ付きエディタを使用)。ただし、コードナビゲーションの高速な方法(例:ファイルを開く、特定のクラスやシンボルへ移動するためのロケーターフィルターシンボル追跡参照の検索開いているドキュメントおよびファイルシステムビュー、編集位置履歴ウィンドウ > 戻る/進むと対応するキーボードショートカット、ウィンドウ > 履歴内の前/次の開いているドキュメントと対応するキーボードショートカット)も併せてご活用ください。

C++サポートに関しては、プリビルドバイナリ向けにClangd/LLVMを21.1リリースに更新いたしました。加えて、組み込みコードモデルでは、新しいC++機能向けに広範な修正が施されました。中括弧の削除や静的データメンバーの定義追加のためのクイックフィックスを追加いたしました。

QMLに関しては、プロジェクトで古いQtバージョンを使用している場合でも、最新のQML言語サーバーをダウンロードしてご利用いただけるようになりました(Preferences > 言語クライアント内のQML言語サーバー設定にて)。

また、GitHub Copilot向けにGitHub Enterprise環境のサポートを追加いたしました。

プロジェクト

Qt Creator固有のプロジェクト設定を含む「.user」ファイルを、プロジェクトディレクトリの「.qtcreator/」サブディレクトリに移動いたしました。ただし、互換性のため、既存の古いプロジェクトの「.user」ファイルは引き続き更新されます。

 

projectmodewithtabs

プロジェクトモードでは、プロジェクトで実際に使用可能なキットのみを表示するか、プロジェクトが既に設定済みのキットのみを表示するかを選択できるようになりました。また、実行ページをデプロイ設定実行時の設定に分割し、ビルド設定とともにキット選択画面からコンテンツビューのタブに移動しました。通常、各種ビルド構成の実行設定は互いに独立しています。Qt Creator 18では、単一キット内での実行時の設定同期、さらにはプロジェクトが設定済みの全キット間での同期オプションを追加いたしました。

CMakeプロジェクトでは、テストプリセットのサポートを追加し、CTestベースのテスト実行用ロケーターフィルター「ct」を導入いたしました。また、全ビルド構成でのCMakeプロジェクト構築(ビルド > すべての構成でプロジェクトをビルド)の修正も実施いたしました。

デバイス

リモートLinuxデバイス上の各種ツール(GDBサーバー、CMake、clangd、rsync、qmakeなど)の設定と自動検出オプションを追加しました。これにより、リモートデバイスをビルドデバイスとして設定する作業が改善されます。この点に関しては、今後のリリースでさらに機能を追加予定です。また、新しい起動時の自動接続設定により、Qt Creatorが起動時にデバイスへの再接続を試みるかどうかを選択できるようになりました。

また、リモートデバイス上でビルドを行う場合やリモートターゲットデバイスを使用する場合に、rsyncによるデプロイメントが利用できない問題を修正いたしました。

その他の改善点

Qt Creator 18では、さらに多くの改善と修正が施されております。例えば、Gitコミットエディタでは、ファイルに対する操作が大幅に拡充され、ステージング、アンステージング、ファイルを直接「.gitignore」に追加するなどの操作が可能になりました。

詳細につきましては、変更履歴をご参照ください。

Qt Creator 18 の入手方法

新バージョンは、Qt Online Installer(商用版オープンソース版)からアップデートとして入手可能です。商用ライセンスのオフラインインストーラーはQt Account Portal、オープンソースパッケージはオープンソースダウンロードページから入手いただけます。本アップグレードは全ユーザー様向けに無償提供となります。

問題が発生した場合は、バグトラッカーへご報告ください。IRCではirc.libera.chatの#qt-creatorチャンネル、メールリストではQt Creatorメーリングリストにてお問い合わせいただけます。

Qt Creatorマニュアルは、Qt Creator内のヘルプモードでご覧いただくか、オンラインのQtドキュメントポータルからアクセスできます。


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