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2 次元/3 次元幾何学変換の統一的な最適計算
      Unified Optimal Computation for 2D/3D Geometric Transformation

                                      松永 力
                                 Chikara Matsunaga
                         株式会社 朋栄 佐倉研究開発センター
                         FOR-A Co., Ltd. Sakura R&D Center
                           E-mail: matsunaga@for-a.co.jp

              Abstract                     パラメータ間に制約がある場合も,金谷はそのよう
                                          な内部拘束を考慮せずに解を求めた後,その解が内部
 コンピュータビジョンの問題に多く現れる 2 次元や 3              拘束を満たすように誤差の統計的な性質を考慮した最
次元の幾何学変換を統一的に最適に計算する方法を示                  適補正を提案している [9, 13].さらに,内部拘束を自
す.射影変換を一般モデルとして,それに制約を課す                  動的に満たすように FNS 法を拡張した拡張 FNS 法も
ことにより,アフィン変換,相似変換,剛体変換,回転                 提案している [12, 27].金谷・菅谷は拡張 FNS 法によ
変換が得られるが,そのような拘束条件を自動的に満                  る基礎行列の最適計算を示した [12, 27].松永らは 3 次
たす最適計算法である「拡張 FNS 法」を用いる.ステ               元 RGB 色空間における 3 次元アフィン変換によるレベ
レオ視による 3 次元復元データにおける 3 次元相似変              ル制約付き色補正パラメータの推定に拡張 FNS 法を用
換のシミュレーション実験を行い,データの誤差分布                  いた [18].
が不均一である場合でも,計算した解が推定精度の理                   本論文では,コンピュータビジョンに現れる 2 次元
論限界を達成することを実験的に示す.                        および 3 次元幾何学変換のパラメータを拡張 FNS 法に
                                          より,一般モデルである射影変換に制約を課すことか
                                          ら得られるアフィン変換,相似変換,剛体変換,回転変
1 はじめに                                    換の部分モデルを統一的に最適に計算する方法を定式
                                          化するとともに,得られた解が推定精度の理論限界を
  コンピュータビジョンに現れる問題の多くは, 次元や      2
                                          達成することを実験的に示す.当てはめ残差や拘束条
3 次元の幾何学変換のパラメータ推定問題として定式化
                                          件の収束の挙動を観察し,最小二乗法,レーベンバー
される.2 次元/3 次元の幾何学変換は,射影変換を一般
                                          グ・マーカート法との比較も行う.2 章で 2 次元/3 次元
モデルとして,パラメータに制約を課すことにより,そ
                                          幾何学変換についてまとめる.3 章では,金谷の統計的
の部分モデルであるアフィン変換,相似変換,剛体変換,
                                          最適化の理論に基づき,幾何学的当てはめ問題を定式
回転変換が得られる.数学的には群(group)と呼ばれる
                                          化して,最尤推定,推定精度の評価と理論限界につい
ものであり,変換の集合をなす変換群(transformation
                                          て述べる.4 章で 2 次元/3 次元幾何学変換の拡張 FNS
group)と呼ぶ.ある群が他の群を包含しているとき,
                                          法による統一的な最適計算手順を示し,5 章でステレオ
包含された群は包含した群の部分群(subgroup)であ
                                          視による 3 次元復元データにおける 3 次元相似変換の
るという [7, 25].それらの部分モデルは様々にパラメー
                                          シミュレーション実験を行い,6 章でまとめる.
タ化することにより標準的にガウス・ニュートン法あ
るいは収束を強制するために勾配法を加味したレーベ
ンバーグ・マーカート法を用いて推定される [4, 6, 14,           2   2 次元および 3 次元幾何学変換
16, 20, 21, 22, 28].                      2.1  回転変換
  ガウス・ニュートン法はバンドル調整(再投影誤差                   2 次元平面上の点 x = (x, y) から 2 次元平面上の点
最小化)[24] とも呼ばれ,2 次元/3 次元幾何学変換の            x = (x , y ) への回転変換は回転行列 R を用いて次
パラメータ推定だけではなく,カメラキャリブレーショ                 のように表される.
ン [16, 28],基礎行列の計算 [26],3 次元復元 [14] など,
                                                         x = Rx.           (1)
様々な問題における非線形最適化手法として標準的に
用いられているが,そのパラメータ化については,特                  ここで,R は回転を表す 2 × 2 行列であり,回転角 θ と
に 3 次元回転の表し方により様々であり,非線形の複                すると,次のように表される.
雑な式となったり,よい初期値から反復を開始しなけ                         R=
                                                    cos θ − sin θ
                                                                  .     (2)
れば,誤差が大きくなるにつれて局所解に陥りやすい.                           sin θ  cos θ
  一方,金谷は統計的最適化の理論を構築し,幾何学的                 3 次元の回転にはいろいろな表現法がある [8].よく
モデルを最適に計算する線形解法として,くりこみ法                  使われるのはオイラー角とロール・ピッチ・ヨー(各
を提案し,楕円の当てはめや 3 次元復元などの様々な問               座標軸周りの回転角)である.一方,回転軸と回転角,
題に適用している [9, 10, 11].これをきっかけとして,          四元数による表現もある.3 × 3 行列である回転行列に
その後,HEIV 法 [15],FNS 法 [3] が提案されている.       は 9 個の成分があるが,その自由度は 3 しかない.
表1      2 次元/3 次元幾何学変換の応用例.
           2 次元幾何学変換                            3 次元幾何学変換
           パノラマ画像生成 [6]                         ロボットの自律走行(SLAM)[4]
           平面パタンによるカメラ校正 [16, 28]               3 次元モデルの生成(3 次元データの位置合わせ)[22]
           ビデオスタビライザ [5, 17]                    3 次元 RGB 色空間データにおける色補正 [18]
                                                測地学 [1]


  例えば,単位ベクトル n = (n1 , n2 , n3 ) を回転軸と                  ただし,s はスケール係数である.相似変換は剛体変換
して,その周りに正の回転方向に角度 Ω だけ回転する                              とスケール変換の積により
3 次元回転行列は次のように与えられる [8].                                            x = Z[HS x],          (10)
            cos Ω + n2 (1 − cos Ω)                      と表せる.ここで,HS は相似変換を表す 3 × 3 行列で
       
                      1
   R =  n2 n1 (1 − cos Ω) + n3 sin Ω                   あり,次のようになる.
         n3 n1 (1 − cos Ω) − n2 sin Ω
                                                                     HS = SHE .           (11)
             n1 n2 (1 − cos Ω) − n3 sin Ω               s = 1 のとき,相似変換 HS は剛体変換 HE と等しく
                cos Ω + n2 (1 − cos Ω)
                          2                             なる.
             n3 n2 (1 − cos Ω) + n1 sin Ω
                                                         3 次元の相似変換は次のように表せる.
                 n1 n3 (1 − cos Ω) + n2 sin Ω                      X = Z[HS X].           (12)
                 n2 n3 (1 − cos Ω) − n1 sin Ω  . (3)
                                                        ここで,HS は HE にスケール変換 S を加えた次のよ
                    cos Ω + n2 (1 − cos Ω)
                              2
                                                        うな 4 × 4 行列になる.
 Ohta らは 3 次元回転を四元数で表現することにより
                                                                     HS = SHE .           (13)
くりこみ法により最適に計算した [23].Niitsuma らは
FNS 法により最適に計算した [21].                                   S は定数倍のスケール係数 s により次のように表せる.
                                                                  S = diag(s, s, s, 1).   (14)
2.2 剛体変換
  回転に並進を加えたものを剛体変換あるいはユーク             2.4  アフィン変換
リッド変換と呼ぶ.2 次元平面上の点 x = (x, y) から        正方形をひし形にするような変形をせん断変形と呼
2 次元平面上の点 x = (x , y ) への剛体変換は        ぶ.すなわち,せん断変形とは直角性は保たれないが,
                                      平行性は保たれるような変形である.このような変形
     x = Rx + t, t = (tx , ty ) , (4)
                                      は,図形を平面上である角度回転した後,x 方向に拡大
と表される.ここで,t は新たに加えた 2 次元の並進ベ (あるいは縮小)し,その後もとの角度に逆回転するこ
クトルであり,x 方向と y 方向の並進成分 tx , ty を持つ. とにより行うことが可能である.このような変形を行
 式(4)は同次座標 x = (x, y, 1) を使えば,次のよ     う行列 D は次のように表せる.
うにひとつの行列により表すことができる.                          
                                                 cos ψ  sin ψ 0
                                                                 
                                                                     ρ 0 0
                                                                           
             x = Z[HE x].         (5)     D =  − sin ψ cos ψ 0   0 1 0 
ここで,Z[ · ] はベクトルの第 3 成分を 1 とする正規化                  0      0    1     0 0 1
作用素であり,HE は次のような 3 × 3 行列である.                   
                                                  cos ψ − sin ψ 0
                                                                   
                  R    t                         sin ψ  cos ψ 0  .         (15)
           HE =            .      (6)
                 02×1 1                              0      0    1
  空間中の点の同次座標を X = (x, y, z, 1) とすると,                    ここで,ρ は x 方向に関する拡大(縮小)率であり,ψ
3 次元の剛体変換は次のように表せる.                                     は回転角である.
              X = Z[HE X].                       (7)     2 次元の相似変換に対して,このようなせん断変形
                                                        D を加えたものがアフィン変換である.アフィン変換
Z[ · ] は 3 次元の場合は,ベクトルの第 4 成分を 1 とす
                                                        は次のように表せる.
る正規化作用素になる.HE は 3 次元回転行列 R と 3
次元並進ベクトル t からなる次のような 4 × 4 行列に                                      x = Z[HA x].          (16)
なる.                                                     ここで,HA は次のような 3 × 3 行列である.
              R   t                                                  HA = HS D.           (17)
       HE =         , t = (tx , ty , tz ) . (8)
             03×1 1                                     アフィン変換で新たに加えたせん断変形 D はせん断の
                                                        方向 ψ とせん断の大きさ ρ で決まるものであり,その自
2.3  相似変換
                                                        由度は 2 である.したがって,アフィン変換の自由度は
  2 次元の剛体変換にスケール変換(拡大縮小)を加え
                                                        6 である.行列 HA を要素で表すと,第 3 行が (0, 0, 1)
たものを 2 次元の相似変換と呼ぶ.2 次元平面上の点 x
                                                        になり,その左上 2 × 2 行列が正則であるような自由度
に作用するスケール変換は水平および垂直方向に等倍
                                                        6 の任意行列であるとしてもよい.
することであるから,次のような行列により表される.
                                                          3 次元のアフィン変換は次のように表せる.
              S = diag(s, s, 1).                 (9)
                                                                   X = Z[HA X].           (18)
図1         2 次元幾何学変換. a)回転, b)剛体, c)相似, d)アフィン, e)射影.
                                       (     (     (     (       (

HA は第 4 行が (0, 0, 0, 1) であり,その左上 3 × 3 行列                  問題は誤差のあるデータ {xα } からパラメータ u を
が正則であるような任意の 4 × 4 行列である.                                 推定することである.これはデータ空間の N 個の点に
                                                          多様体 S を当てはめる問題と解釈できる.この問題を
     射影変換
                                                          幾何学的当てはめと呼ぶ [9].
2.5
  扇形に変形することを扇形変形と呼ぶ.扇形変形で
は直線性は保たれるが,平行性や直交性は保たれない. 【例 1】2 次元/3 次元幾何学変換を推定する問題も典型
すなわち,扇形変形は平行線上の無限遠点を有限な点      的な幾何学的当てはめ問題であり,その場合,各デー
に移動させるような変形である.このような変形は次      タは 2 次元画像上や 3 次元空間上の点の位置を表すベ
のように表される.                     クトルである.例えば,第 1 画像上の点 (xα , yα ) と第 2
                              画像上の点 (xα , yα ) が対応すれば,その対応が 4 次元
           x = Z[Bx].    (19)
                              ベクトル z α = (xα , yα , xα , yα ) で表せる.3 次元空間
ここで,B は,                      上の点 (xα , yα , zα ) と点 (xα , yα , zα ) が対応すれば,そ
                              の対応が 6 次元ベクトル z α = (xα , yα , zα , xα , yα , zα )
                     
               1 0 0
         B =  0 1 0,   (20) で表せる.2 次元幾何学変換の場合,z α に対する独立
               β γ 1          な方程式は 2 個であるから r = 2 となり,3 次元幾何学
である.                          変換の場合,z α に対する独立な方程式は 3 個であるか
  2 次元のアフィン変換に扇形変形を加えたものが 2 次 ら r = 3 となり,u はそれぞれ 2 次元/3 次元幾何学変
元射影変換である.射影変換は次のように表される.      換行列の要素を並べたベクトルである [9].
                  x = Z[Hx].                       (21)    式(24)の F (k) は一般に x の複雑な非線形関数であ
ここで,H はアフィン変換行列 HA と扇形変形行列 B                              るが,コンピュータビジョンに現れる多くの問題では,
の積であり,次のように表せる.                                           未知パラメータ u に関しては線形であったり,パラメー
                  H = HA B.                        (22)   タを付け直して線形に表せることが多い.そのような
                                                          場合は式(24)が次の形に表せる.
射影変換は自由度 6 のアフィン変換に自由度 2 の扇形
変形を加えたものであるから,その自由度は 8 である.                (ξ(k) (¯ α ), u) = 0, k = 1, . . . , r.
                                                  x                                  (25)
射影変換のもとでは,長さや角度のみでなく平行性も              ここで,ξ ( · ) は m 次元ベクトルから p 次元ベクト
                                             (k)

保たれない.                                ルへの(一般に非線形の)写像である.以下,ベクト
  行列 H は任意の 3 × 3 正則行列であるとしてもよい. ル a, b の内積を (a, b) と書く.u にはスケールの不定
3 × 3 行列には 9 個の要素があるが,すべての要素を定        性があるので u = 1 と正規化する.
数倍してもまったく同じ変換を表すことから,その自
                                      【例 2】同一平面を異なる位置から撮影した 2 画像から
由度は 8 である.
                                      N 個の特徴点を抽出し,第 1 画像の点 (xα , yα ) が第 2
  3 次元の射影変換は次のように表せる.
                                      画像の点 (xα , yα ) に対応するとする.カメラの焦点距離
             X = Z[HX].          (23) が十分大きい場合には,両者は 2 次元アフィン変換で結
H は任意の 4 × 4 正則行列である.4 × 4 行列には 16 個  ばれると見なせる.真の特徴点位置 {¯α , yα }, {¯α , yα }
                                                                           x ¯     x ¯
の要素があるが,すべての要素を定数倍してもまった              は次の関係を満たす.
く同じ変換を表すことから,その自由度は 15 である.                               x = Z[HA xα ].
                                                          ¯         ¯                (26)
                                                                                 α
                                                          ここで,
3   幾何学的当てはめ
                                                          ¯     x        ¯             ¯
                                                          xα = (¯α /f0 , yα /f0 , 1) , xα = (¯α /f0 , yα /f0 , 1) ,
                                                                                             x        ¯
3.1  幾何学的モデル                                                                       
                                                                  h11 h12 h13
  N 個の m 次元データベクトル x1 , . . . , xN は,それ                   HA =  h21 h22 h23  ,                                (27)
らの誤差がないときの値 x1 , . . . , xN が未知の p 次元パ
              ¯          ¯                                         0      0 h33
ラメータベクトル u をもつ r 個の拘束条件
                                                          であり,f0 は要素 hij のオーダーを揃えるためのほぼ画
       F (k) (¯ α , u) = 0,
              x                k = 1, . . . , r,   (24)   像サイズの大きさの任意定数である.2 次元アフィン変
を満たすとする.    これを(幾何学的)モデルと呼ぶ.デー                            換行列 HA を誤差のあるデータ z α = (xα , yα , xα , yα )
タ {xα } の定義される空間 X をデータ空間,パラメー                            から推定する.
タ u の定義される空間 U をパラメータ空間,r を拘束                                     ξ (1) (z α ) = (xα , yα , f0 , 03×1 , −xα ) ,
条件のランクと呼ぶ.r 個の方程式(24)は x の方程
式として互いに代数的に独立で,データ空間 X に余次                                        ξ (2) (z α ) = (03×1 , xα , yα , f0 , −yα ) ,
元 r の(代数)多様体 S を定義する.                                             u = (h11 , h12 , h13 , h21 , h22 , h23 , h33 ) ,   (28)
図2     3 次元幾何学変換. a)回転, b)剛体, c)相似, d)アフィン, e)射影.
                                        (     (     (     (       (

と置くと,式(26)は式(25)の形に書ける.u はア                                           データの誤差は小さいと仮定して,線形近似を用い
フィン変換行列 HA の要素を並べたベクトルである.こ                                          てラグランジュ乗数により拘束条件(25)を消去する
れにより,データ空間 X が 7 次元空間 R7 の 4 次元(代                                    と式(32)は次のように書ける [9].
数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は R7                                                          N         r
の原点を中心とする 6 次元単位球面 S 6 となる.                                                                           Wα (ξ (k) , u)(ξ α , u).
                                                                                                       (kl)            (l)
                                                                             J=                             α                                       (33)
【例 3】3 次元空間中の点 (xα , yα , zα ) が点 (xα , yα , zα )                                   α=1 k,l=1

に 対 応 す る 場 合 ,真 の 特 徴 点 位 置 を {¯α , yα , zα },                      ただし, α は (u, V0 [ξ α ]u) を (kl) 要素とする r×r
                                                                                    (kl)                   (kl)
                                  x ¯ ¯                                  W
{¯α , yα , zα } とすると,3 次元アフィン変換は 2 次元の
 x ¯ ¯                                                               行列の逆行列の (kl) 要素であり,次のように書く2 .
場合同様,式(26)の関係を満たす.ただし,                                                              (kl)                          (kl)
                                                                                                                                   −1
                                                                                   Wα    = (u, V0                        [ξα ]u)          .         (34)
             ¯
             xα = (¯α /f0 , yα /f0 , zα /f0 , 1) ,
                   x        ¯        ¯
                                                                     ここで,V0 [ξ α ] は ξ α の正規化共分散行列である.
                                                                                    (kl)
                                                                                       (k)
            ¯
            xα = (¯α /f0 , yα /f0 , zα /f0 , 1) ,
                  x        ¯        ¯
                                                                     データの誤差は小さいと仮定しているから,V0 [ξ α ]
                                                                                                 (kl)
                    h11 h12 h13 h14
                 h        h22 h23 h24                              はデータ xα の正規化共分散行列 V0 [xα ] から線形近似
            HA =  21
                  h31 h32 h33 h34  .
                                                            (29)    によって次のように計算できる.
                                                                         (kl)                       (k)                             (l)
                     0      0       0 h44                              V0       [ξα ] =        xξ         |x=xα V0 [xα ]       xξ         |x=xα .   (35)
3 次元アフィン変換行列 HA を誤差のあるデータ z α =                                      ただし,           xξ
                                                                                         (k)
                                                                                               はξ     (k)
                                                                                                            (x) の m × p ヤコビ行列である.
(xα , yα , zα , xα , yα , zα ) から推定する.
      ξ(1) (z α ) = (xα , yα , zα , f0 , 04×1 , 04×1 , −xα ) ,       【例 4】2 次元アフィン変換の場合,4 次元ベクトル z α
                                                                     = (xα , yα , xα , yα ) の正規化共分散行列 V0 [z α ] は,特
       ξ(2) (z α ) = (04×1 , xα , yα , zα , f0 , 04×1 , −yα ) ,
                                                                     に特徴的な誤差の現れ方をしない場合はデフォルト値と
       ξ(3) (z α ) = (04×1 , 04×1 , xα , yα , zα , f0 , −zα ) ,      して I 4×4 を用いる.データ {xα , yα }, {xα , yα } のいず
       u = (h11 , h12 , h13 , h14 , h21 , h22 , h23 , h24 ,          れか一方が誤差を含まない理想的な参照モデルの場合
                h31 , h32 , h33 , h34 , h44 ) ,                 (30) には,V0 [z α ] = diag(1, 1, 0, 0) あるいは diag(0, 0, 1, 1)
                                                                     とすればよい.
と置くと,3 次元アフィン変換も式(25)の形に書ける.
                                                                       3 次元アフィン変換の場合,6 次元ベクトル z α =
これにより,データ空間 X が 13 次元空間 R13 の 6 次
                                                                     (xα , yα , zα , xα , yα , zα ) の正規化共分散行列 V0 [z α ] は,
元(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間
                                                                     特に特徴的な誤差の現れ方をしない場合はデフォルト値
U は R13 の原点を中心とする 12 次元単位球面 S 12 と
                                                                     として I 6×6 を用いる.               データ {xα , yα , zα }, {xα , yα , zα }
なる.
                                                                     のいずれか一方が誤差を含まない理想的な参照モデ
3.2      最尤推定                                                        ルの場合には,V0 [z α ] = diag(1, 1, 1, 0, 0, 0) あるいは
   写像されたデータ ξ (k) , k = 1, . . . , r の誤差の挙動を
                             α                                       diag(0, 0, 0, 1, 1, 1) とすればよい.
記述する共分散行列を                                                             これらはいずれも誤差の分布が一様等方であること
                     V [ξ α ] = 2 V0 [ξ α ],                    (31) を仮定しているが,センサによっては誤差の分布が不
とする.ただし,ξ α = (ξ (1) , . . . , ξ (r) ) として,                          均一な非等方性であることは珍しくない [20, 21].
                                   α            α
V0 [ξ α ], k, l = 1, . . . , r を並べた (p × r) × (p × r) 行列
  (kl)
                                                                     3.3     精度の評価と理論限界
である.以下,ξ (xα ) を ξ α と略記する. は誤差の
                      (k)            (k)
                                                                       推定値 u の誤差 ∆u を次のように定義する.
                                                                                 ˆ
絶対量を表す定数であり,ノイズレベルと呼ぶ.V0 [ξ α ]                                                ∆u = P U u, P U = I p×p − uu .
                                                                                             ˆ                                    (36)
は誤差のデータや方向への依存を定性的に表すもので
                                                                     ここで,P U は R において,点 u におけるパラメータ
                                                                                            p
あり,正規化共分散行列と呼んで既知とする.
                                                                     空間 U の接空間 Tu (U) への直交射影行列である.I p×p
   誤差がデータ毎に独立で正規分布に従うとすると,
                                                                     は p 次の単位行列である.これから推定値 u の共分散                        ˆ
{ξ α }, u の最尤推定は線形化された拘束条件(25)のも
 ¯
                                                                     行列が次のように定義できる.
とでマハラノビス距離の二乗和
               N                                                                         V [ˆ ] = E[∆u∆u ].
                                                                                            u                                     (37)
       J=          (ξ − ξ
                    α     α
                           ¯ , V0 [ξ ]−1 (ξ − ξ )),
                                  α       α      α
                                                   ¯            (32) 式(37)は,具体的に次のように計算できる [9].
            α=1                                                                                               2
                                                                                               V [ˆ ] =
                                                                                                  u               M− .
                                                                                                                   p−1                              (38)
を最小にするように {ξ α }, u を推定することである1 .
           ¯(k)
                                                                     ズの)一般逆行列に置き換えれば成り立つ [9].
                                                                      2 式(33)の r 個の式が冗長で,r (< r) 個だけが独立な場合は,
 1 データ   が何らかの制約を受ける(例えば単位ベクトル
              (k)
            {ξα }                                                    式(34)の逆行列をランク r の(標準形において大きい r 個以外
に正規化される)場合にも,逆行列 V0 [ξα ]−1 を(ムーア・ペンロー                               の固有値を 0 として計算する)一般逆行列に置き換えればよい [9].
ただし,行列 M を次のように置いた.                                      【例 6】3 次元相似変換行列は 3 次元アフィン変換行列
                  N     r                                (29)の左上 3 × 3 行列を S = sR としたものである.
                             Wα ξ (k) ξα .               S を次のように書く.
                              (kl)     (l)
          M=                       α              (39)
                 α=1 k,l=1                                                    
                                                                   s11 s12 s13
 u = 1 の正規化のためにランクが (p − 1) の(ムー                             S =  s21 s22 s23  = s1 , s2 , s3 . (46)
ア・ペンローズの)一般逆行列となっていることに注                                           s31 s32 s33
意する.
                                                         したがって,拘束条件は次のようになる.
  このとき,どのような推定方法で u を計算しても,
                         ˆ
データに誤差がある限り,V [ˆ ] がある値より小さくな
                     u                                        (s1 , s2 ) = 0,         (s2 , s3 ) = 0,        (s3 , s1 ) = 0,
らない.すなわち,精度には超えることができない理
                                                                       2             2              2
                                                                  s1       = s2 ,              s2       = s3 2 .                   (47)
論的な限界が存在する.これを式で書くと,次のよう                                 式(30)の 3 次元アフィン変換を表す 13 次元ベクトル
になる [9].                                                 u の要素を用いると,3 次元相似変換行列における内部
          V [ˆ ]
             u   2 ¯ −
                  M    .      (40) p−1
                                                         拘束式は次のような 2 次同次式で書ける.
記号 は左辺引く右辺が半正値対称行列であること                                    φ1 (u) = h11 h21 + h12 h22 + h13 h23 = 0,
を表す.行列 M は式(39)の M をデータの真値 xα
           ¯                      ¯                        φ2 (u) = h21 h31 + h22 h32 + h23 h33 = 0,
を用いて計算した値である.式(40)の右辺は KCR
                                                           φ3 (u) = h31 h11 + h32 h12 + h33 h13 = 0,
(Kanatani-Cram´r-Rao)下界と呼ばれる [2].最尤
              e
推定を行えば,KCR 下界が O( 4 ) の項を除いて等号
                                                           φ4 (u) = h2 + h12 + h2 − h21 − h2 − h23 = 0,
                                                                     11
                                                                          2
                                                                                13
                                                                                     2
                                                                                           22
                                                                                                2


で成立する [9].最尤推定はこの意味で最適な推定法で                                φ5 (u) = h2 + h22 + h2 − h31 − h2 − h33 = 0. (48)
                                                                          2          2          2
                                                                     21         23         32
ある.                                                      これにより,データ空間 X が 13 次元空間 R13 の 6 次
                                                         元(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間
                                                         U は R13 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, . . . , 5 で定義
4    幾何学変換の統一的な最適計算
                                                         される 7 次元(代数)多様体となる.
4.1  内部拘束
                                                         【例 7】2 次元剛体変換行列は,拘束条件 RR = I を
  u にはスケールの不定性があるので u = 1 と正規
                                                         満たさなければならない.回転行列 R を次のように書
化するが,これは一つの内部拘束である.そして,こ
                                                         くと,
れ以外に u に次の q 個の内部拘束が存在するとする.
                                                                   r11 r12
           φm (u) = 0,       m = 1, . . . , q.    (41)          R=         = r1 , r2 , (49)
                                                                   r21 r22
これら q 個の式は代数的に独立であるとする.式(41)
                                                         拘束条件は次のようになる.
はスケール不定の u に対して成立するとし,各 φm (u)                                                            2
は κm 次同次式であると仮定する [12].最尤推定量 u は       ˆ                    (r 1 , r 2 ) = 0,        r1        = r2 2 ,         r1   2
                                                                                                                          = 1.     (50)
式(33)を内部拘束 u = 1, φm (u) = 0, m = 1, . . . , q           式(28)の 2 次元アフィン変換を表す 7 次元ベクトル
のもとで最小化することになる.                                          u の要素を用いると,2 次元剛体変換行列における内部
                                                         拘束式は,2 次元相似変換における内部拘束式(45)と
【例 5】2 次元相似変換行列は 2 次元アフィン変換行列                            次のような 2 次同次式になる.
(26)の左上 2 × 2 行列を S = sR としたものである.2                                        φ3 (u) = h2 + h22 − h33 = 0.
                                                                                          2     2
                                                                                                                                   (51)
次元相似変換行列は次の内部拘束を満たさなければな
                                                                                     21
                                                         これにより,データ空間 X が 7 次元空間 R の 4 次元                                   7
らない.
                                                         (代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は
     SS     = (sR)(sR) = s2 RR = s2 I.            (42)   R7 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, 2, 3 で定義される
ここで,I は 2 次の単位行列である.S を次のように                             3 次元(代数)多様体となる.
書く.                                                        純粋な 2 次元回転変換行列は,並進ベクトル t =
          s11 s12                                        (h13 , h23 ) = 02×1 になり,データおよびパラメータ
                                                         空間はそれぞれ 5 次元空間 R5 に縮退するが,内部拘
    S=            = s1 , s2 . (43)
          s21 s22
したがって,拘束条件(42)は次のようになる.                                  束式は式(45) 51)と同じである.
                                                                        (

          (s1 , s2 ) = 0,     s1   2
                                       = s2 2 .   (44)   【例 8】3 次元剛体変換行列は,回転行列 R を次のよう
式(28)の 2 次元アフィン変換を表す 7 次元ベクトル                            に書くと,
u の要素を用いると,2 次元相似変換行列における内部
                                                                              
                                                                   r11 r12 r13
拘束式は次のような 2 次同次式で書ける.                                        R =  r21 r22 r23  = r 1 , r 2 , r 3 , (52)
                                                                   r31 r32 r33
       φ1 (u) = h11 h21 + h12 h22 = 0,
                                                         拘束条件は次のようになる.
       φ2 (u) = h2 + h2 − h2 − h2 = 0.
                 11   12   21   22                (45)
                                                            (r 1 , r 2 ) = 0,       (r 2 , r 3 ) = 0,      (r 3 , r 1 ) = 0,
これにより,データ空間 X が 7 次元空間 R7 の 4 次元
(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は
                                                                  2             2               2
                                                             r1        = r2 ,             r2        = r3 2 ,         r1    2
                                                                                                                               = 1. (53)
R7 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, 2 で定義される 4                式(30)の 3 次元アフィン変換を表す 13 次元ベクトル
次元(代数)多様体となる.                                            u の要素を用いると,3 次元剛体変換行列における内部
                                                         拘束式は,3 次元相似変換における内部拘束式(48)と
次のような 2 次同次式になる.                                                            6. 固有値問題
       φ6 (u) =   h2
                   11    +    h2
                               12      +   h2
                                            13   −   h2
                                                      44     = 0.   (54)                               Y v = λv,                 (62)
これにより,データ空間 X が 13 次元空間 R13 の 6 次                                              の小さい q + 1 個の固有値に対する単位固有ベクト
元(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間                                                       ル v 0 , . . . , v q を求める.
U は R13 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, . . . , 6 で定義                           7. 現在の解 u を次のように {v 0 , . . . , v q } に射影した
される 6 次元(代数)多様体となる.                                                            u を計算する.
                                                                               ˆ
  純粋な 3 次元回転変換行列は,並進ベクトル t =                                                                            q

(h14 , h24 , h34 ) = 03×1 になり,データおよびパラメー                                                        ˆ
                                                                                                u=              (u, v m )v m .   (63)
タ空間はそれぞれ 10 次元空間 R10 に縮退するが,内部                                                                       m=0

拘束式は式(48) 54)と同じである.
                   (                                                        8. 次の u を計算する.
                                                                                                   u = N [P V u].
                                                                                                              ˆ                  (64)
  u = 1 以外の内部拘束が存在する場合の推定値 u
                           ˆ                                                   N [ · ] は単位ベクトルへの正規化作用素である
の共分散行列は次のようになる [9].                                                           (N [a] = a/ a ).
                                                                            9. u ≈ u なら u を返して終了する.そうでなけれ
                                                 −
                    2
         V [ˆ ] =
            u                P UMP U                     .          (55)
                                                 p−q−1                         ば,u ← N [u + u ] としてステップ 2 に戻る.
ここで,射影行列 P U は,内部拘束 φm (u) の勾配ベク
トル u φ1 (u), . . . , u φq (u) にシュミットの直交化を施
                                                                           q = 0 とすると,P V = I p×p であり,u は Y の最小固
                                                                           有値に対する固有ベクトルとなり,通常の u = 1 以
した正規直交系 {u1 , . . . , uq } を用いると次のように書
                                                                           外の内部拘束が存在しない場合の FNS 法に帰着する.
ける.
                                                                                 最小二乗法
                                  q
                                                                           4.3
       P U = I p×p −                  um um − uu .                  (56)
                                                                             拡張 FNS 法の反復には初期値が必要であるが,u に
                                                                           は内部拘束が存在する.よく用いられる簡略化は, u
                             m=1
ただし,p 次元ベクトル u が内部拘束を受けて,パラ
                                                                           = 1 の正規化以外の制約を無視することである.近似
メータ空間 U が p 次元空間 Rp の (p − q − 1) 次元多様
                                                                           解を求めるのによく用いられるのは,最小二乗法であ
体となるため,式(39)の行列 M を P U M P U に置き
                                                                           る.式(33)で Wα = δkl (クロネッカのデルタ:k
                                                                                       (kl)
換え,ランクが (p − q − 1) の(ムーア・ペンローズの)
                                                                           = l で 1,それ以外で 0)と置くと次のようになる.
一般逆行列になる.
                                                                                                   N        r
                                                                                                                    (k)
                                                                                           JLS =                 (ξ α , u)2 .    (65)
4.2 拡張 FNS 法                                                                                       α=1 k=1
  式(33)を u で微分すると次のようになる [19].                                             これは次のように変形される.
                  u J = 2(M − L)u.                                  (57)               N    r
                                                                                                     (k) (k)
ここで,行列 M は式(39)であり,行列 L は次のよ                                                   JLS =             u ξ α ξα u = (u, MLS u).        (66)
うに置いた.
                                                                                       α=1 k=1

                    N         r                                            ただし,次のように置いた.
                                       (k) (l) (kl)                                                 N       r
          L=                          vα vα V0 [ξ α ].              (58)                                           (k) (k)
                  α=1 k,l=1
                                                                                        MLS =                     ξα ξα .        (67)
                                                                                                   α=1 k=1
上式中の vα は次のように定義する.
         (k)
                                                                           式(66)は u の 2 次形式であるから,これを最小化す
                                                                           る単位ベクトル u は(2 次)モーメント行列 MLS の最
                         r
            (k)
           vα =               Wα (ξ (l) , u).
                               (kl)
                                                                    (59)
                                                                           小固有値に対する単位固有ベクトルである [9].
                                    α
                        l=1
式(33)を最小にするには式(57)より (M − L)u =
0 を解けばよく,固有値問題を反復して解く FNS 法 [3]                                            5     シミュレーション実験
を用いることができるが,u には内部拘束が存在する                                                    図 3 のように曲面格子をその中心の格子点が世界座
ので,内部拘束を自動的に満たすように FNS 法を拡張                                                標の原点にあるように配置し,その後,原点を通るあ
した拡張 FNS 法 [12] の手順を以下に示す.                                                 る回転軸の周りに回転し,平行移動し,スケールを変
                                                                           える.そして,ステレオ視によって各格子点の相似変
 1. u の初期解を与える.                                                            換前後の 3 次元位置を計測する.2 台のカメラは曲面格
 2. 式(39) 58)の行列 M , L を計算する.
         (                                                                 子を 10 度で見込む位置に配置している.画像サイズは
 3. 内部拘束の勾配ベクトル u φ1 (u), . . . , u φq (u) を                               500 × 800 画素,焦点距離は 600 画素を想定している.
    計算し,これにシュミットの直交化を施した正規                                                 各格子点を対応点として,その x, y 座標に期待値 0,
    直交系 {u1 , . . . , uq } を求める.                                           標準偏差 σ 画素の正規乱数を加え,それぞれ Kanatani
 4. 次の射影行列 P V を計算する.                                                      らの方法 [13] で各格子点の 3 次元位置を最適に計算す
                                                                           る.3 次元復元位置をデータとして,その正規化共分散
                                           q
               P V = I p×p −
                                                                           行列を Niitsuma らの方法 [21] で予測して,前節で述
                                               um um .              (60)
                                                                           べた拡張 FNS 法を適用して 3 次元相似変換行列を計算
                                        m=1
 5. 次の行列 Y を計算する.
                                                                           する.拡張 FNS 法の初期値には,前節で述べた制約を
                Y = P V (M − L)P V .                                (61)   無視した最小二乗法による解を用いる.
図3  3 次元相似変換(回転,並進,スケール変化)
  する曲面格子物体のステレオ視による 3 次元計測とそ
  の誤差楕円体.奥行き方向の復元誤差が大きい(誤差
  分布の不均一性) .

                                                               図5   ステレオ画像に加えた標準偏差 σ の誤差に対す
                                                               る拡張 FNS 法(EFNS) LM 法(LM)
                                                                              ,        ,最小二乗法
                                                               (LS)による 3 次元相似変換行列の RMS 誤差と KCR
                                                               下界(KCR)  .




               【3 次元相似変換前】




                                                               図6   拡張 FNS 法の反復過程における当てはめ残差
                                                               J (左)と拘束条件 φm (u)(右)の変化.
               【3 次元相似変換後】
                                                           考慮していないため非常に精度が低い.それに対して
    図4   曲面格子の相似変換前後のステレオ画像.
                                                           拡張 FNS 法は LM 法とほぼ同じであり,精度の理論限
 計算した 3 次元相似変換行列を式(30)の単位ベク                                界にほぼ到達していることがわかる.図 6 は σ = 1 の
トル u の形に表し,その誤差を式(36)より計算する.                               場合の代表的な例に対して,拡張 FNS 法による当ては
これを各 σ で誤差を変えて 1000 回づつ試行し,その平                             め残差 J と拘束条件 φm (u), m = 1, . . . , 5 の収束の様
方平均二乗(RMS)誤差を次のように評価する.                                    子を反復回数に対してプロットしたものである.すべ
                      1000
                                                           ての拘束条件が急速に 0 に収束している.
         E=
                 1
                             P U u(a) 2 .
                                 ˆ                  (68)    図 7 は σ を横軸に取って拡張 FNS 法,LM 法,最小
               1000   a=1                                  二乗法によるパラメータ毎の RMS 誤差 ER , Et , Es を
                                                           プロットしたものである.これから分かるように最小
ただし u(a) は a 回目の試行の 3 次元相似変換行列の解
         ˆ
                                                           二乗法では,すべてのパラメータにおいて精度が極め
のベクトル表現であり,P U は式(56)の射影行列であ
                                                           て低い.LM 法,拡張 FNS 法を用いると精度が著しく
る.3 次元相似変換における拘束条件は式(48)より得
                                                           向上する.
られる.式(55)の両辺の平方根を取り,式(37)より
trV [ˆ ] = E[ ∆u 2 ] であることに注意すると,3 次元
                                                                 まとめ
     u
相似変換行列における RMS 誤差の KCR 下界が次のよ
                                                           6
うに得られる.
                                                            コンピュータビジョンに現れる 2 次元/3 次元幾何学
                                                           変換,幾何学的当てはめ問題,最尤推定,推定精度の評
                                            −
       E[ ∆u   2]   ≥σ          ¯
                         tr P U M P U           .   (69)
                                            7              価と理論限界についてまとめた.2 次元/3 次元幾何学
 比較のために,回転を特異値分解により計算する最小二                                 変換のパラメータの拡張 FNS 法による統一的な最適計
乗法 [20, 21],リー代数により表現することによるレー                             算の方法を示した.ステレオ視による 3 次元復元デー
ベンバーグ・マーカート(LM)法 [20] を適用する.                               タにおける 3 次元相似変換のシミュレーション実験を
  そして,3 次元相似変換における回転行列,並進,ス                                行い,拡張 FNS 法により得られた解が推定精度の理論
ケール変化を R, ˆ s とし,それらの真値を R, ¯ s と
              ˆ t, ˆ               ¯ t, ¯
                                                           限界を達成することを示した.当てはめ残差や拘束条
するとき,回転の誤差は相対回転 R          ˆ R−1 の回転角を δΩ
                             ¯
                                                           件の収束の挙動を観察し,最小二乗法,レーベンバー
(° )で評価し,並進,スケール変化の誤差をそれぞれ                                 グ・マーカート法との比較も行った.
δt = ˆ − ¯ δs = s − s として評価する.拡張 FNS 法に
     t t,       ˆ ¯                                         拡張 FNS 法は,2 次元/3 次元幾何学変換のモデル毎
よる 3 次元相似変換行列は特異値分解により回転行列                                 に巧妙なパラメータ化による複雑な式変形を行わなく
とスケール変化に分解して評価する.                                          とも,単に代数的な拘束条件式さえ書き下せば,同一の
  図 5 はステレオ画像に加えた標準偏差 σ の誤差に対                              計算手順によって拘束条件を課した部分モデルの最適
する拡張 FNS 法,LM 法,および最小二乗法による 3                              な推定結果が得られる.拘束条件が複数ある場合にも
次元相似変換行列の RMS 誤差 E を KCR 下界ととも                             対応が可能なため,相当に適用範囲が広い.拡張 FNS
にプロットしたものである.これから分かるように最                                   法により推定した複数の異なる部分モデルから最適な
小二乗法は 3 次元復元データの誤差分布の不均一性を                                 モデルを選択することも可能である.
(a)                                (b)                                  (c)
      図7     ステレオ画像に加えた誤差の標準偏差 σ に対する(a)回転, b)並進, c)スケール変化の RMS 誤差.
                                          (     (

謝辞: 長年に渡り御指導頂いた岡山大学大学院 金谷健                                   [15] Y. Leedan and P. Meer, Heteroscedastic regres-
一教授に感謝します.                                                        sion in computer vision: Problems with bilinear
                                                                  constraint, Int. J. Comput. Vision., 37-2 (2000),
                                                                  127–150.
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2次元/3次元幾何学変換の統一的な最適計算論文

  • 1. 2 次元/3 次元幾何学変換の統一的な最適計算 Unified Optimal Computation for 2D/3D Geometric Transformation 松永 力 Chikara Matsunaga 株式会社 朋栄 佐倉研究開発センター FOR-A Co., Ltd. Sakura R&D Center E-mail: [email protected] Abstract パラメータ間に制約がある場合も,金谷はそのよう な内部拘束を考慮せずに解を求めた後,その解が内部 コンピュータビジョンの問題に多く現れる 2 次元や 3 拘束を満たすように誤差の統計的な性質を考慮した最 次元の幾何学変換を統一的に最適に計算する方法を示 適補正を提案している [9, 13].さらに,内部拘束を自 す.射影変換を一般モデルとして,それに制約を課す 動的に満たすように FNS 法を拡張した拡張 FNS 法も ことにより,アフィン変換,相似変換,剛体変換,回転 提案している [12, 27].金谷・菅谷は拡張 FNS 法によ 変換が得られるが,そのような拘束条件を自動的に満 る基礎行列の最適計算を示した [12, 27].松永らは 3 次 たす最適計算法である「拡張 FNS 法」を用いる.ステ 元 RGB 色空間における 3 次元アフィン変換によるレベ レオ視による 3 次元復元データにおける 3 次元相似変 ル制約付き色補正パラメータの推定に拡張 FNS 法を用 換のシミュレーション実験を行い,データの誤差分布 いた [18]. が不均一である場合でも,計算した解が推定精度の理 本論文では,コンピュータビジョンに現れる 2 次元 論限界を達成することを実験的に示す. および 3 次元幾何学変換のパラメータを拡張 FNS 法に より,一般モデルである射影変換に制約を課すことか ら得られるアフィン変換,相似変換,剛体変換,回転変 1 はじめに 換の部分モデルを統一的に最適に計算する方法を定式 化するとともに,得られた解が推定精度の理論限界を コンピュータビジョンに現れる問題の多くは, 次元や 2 達成することを実験的に示す.当てはめ残差や拘束条 3 次元の幾何学変換のパラメータ推定問題として定式化 件の収束の挙動を観察し,最小二乗法,レーベンバー される.2 次元/3 次元の幾何学変換は,射影変換を一般 グ・マーカート法との比較も行う.2 章で 2 次元/3 次元 モデルとして,パラメータに制約を課すことにより,そ 幾何学変換についてまとめる.3 章では,金谷の統計的 の部分モデルであるアフィン変換,相似変換,剛体変換, 最適化の理論に基づき,幾何学的当てはめ問題を定式 回転変換が得られる.数学的には群(group)と呼ばれる 化して,最尤推定,推定精度の評価と理論限界につい ものであり,変換の集合をなす変換群(transformation て述べる.4 章で 2 次元/3 次元幾何学変換の拡張 FNS group)と呼ぶ.ある群が他の群を包含しているとき, 法による統一的な最適計算手順を示し,5 章でステレオ 包含された群は包含した群の部分群(subgroup)であ 視による 3 次元復元データにおける 3 次元相似変換の るという [7, 25].それらの部分モデルは様々にパラメー シミュレーション実験を行い,6 章でまとめる. タ化することにより標準的にガウス・ニュートン法あ るいは収束を強制するために勾配法を加味したレーベ ンバーグ・マーカート法を用いて推定される [4, 6, 14, 2 2 次元および 3 次元幾何学変換 16, 20, 21, 22, 28]. 2.1 回転変換 ガウス・ニュートン法はバンドル調整(再投影誤差 2 次元平面上の点 x = (x, y) から 2 次元平面上の点 最小化)[24] とも呼ばれ,2 次元/3 次元幾何学変換の x = (x , y ) への回転変換は回転行列 R を用いて次 パラメータ推定だけではなく,カメラキャリブレーショ のように表される. ン [16, 28],基礎行列の計算 [26],3 次元復元 [14] など, x = Rx. (1) 様々な問題における非線形最適化手法として標準的に 用いられているが,そのパラメータ化については,特 ここで,R は回転を表す 2 × 2 行列であり,回転角 θ と に 3 次元回転の表し方により様々であり,非線形の複 すると,次のように表される. 雑な式となったり,よい初期値から反復を開始しなけ R= cos θ − sin θ . (2) れば,誤差が大きくなるにつれて局所解に陥りやすい. sin θ cos θ 一方,金谷は統計的最適化の理論を構築し,幾何学的 3 次元の回転にはいろいろな表現法がある [8].よく モデルを最適に計算する線形解法として,くりこみ法 使われるのはオイラー角とロール・ピッチ・ヨー(各 を提案し,楕円の当てはめや 3 次元復元などの様々な問 座標軸周りの回転角)である.一方,回転軸と回転角, 題に適用している [9, 10, 11].これをきっかけとして, 四元数による表現もある.3 × 3 行列である回転行列に その後,HEIV 法 [15],FNS 法 [3] が提案されている. は 9 個の成分があるが,その自由度は 3 しかない.
  • 2. 表1 2 次元/3 次元幾何学変換の応用例. 2 次元幾何学変換 3 次元幾何学変換 パノラマ画像生成 [6] ロボットの自律走行(SLAM)[4] 平面パタンによるカメラ校正 [16, 28] 3 次元モデルの生成(3 次元データの位置合わせ)[22] ビデオスタビライザ [5, 17] 3 次元 RGB 色空間データにおける色補正 [18] 測地学 [1] 例えば,単位ベクトル n = (n1 , n2 , n3 ) を回転軸と ただし,s はスケール係数である.相似変換は剛体変換 して,その周りに正の回転方向に角度 Ω だけ回転する とスケール変換の積により 3 次元回転行列は次のように与えられる [8]. x = Z[HS x], (10) cos Ω + n2 (1 − cos Ω) と表せる.ここで,HS は相似変換を表す 3 × 3 行列で  1 R =  n2 n1 (1 − cos Ω) + n3 sin Ω あり,次のようになる. n3 n1 (1 − cos Ω) − n2 sin Ω HS = SHE . (11) n1 n2 (1 − cos Ω) − n3 sin Ω s = 1 のとき,相似変換 HS は剛体変換 HE と等しく cos Ω + n2 (1 − cos Ω) 2 なる. n3 n2 (1 − cos Ω) + n1 sin Ω  3 次元の相似変換は次のように表せる. n1 n3 (1 − cos Ω) + n2 sin Ω X = Z[HS X]. (12) n2 n3 (1 − cos Ω) − n1 sin Ω  . (3) ここで,HS は HE にスケール変換 S を加えた次のよ cos Ω + n2 (1 − cos Ω) 2 うな 4 × 4 行列になる. Ohta らは 3 次元回転を四元数で表現することにより HS = SHE . (13) くりこみ法により最適に計算した [23].Niitsuma らは FNS 法により最適に計算した [21]. S は定数倍のスケール係数 s により次のように表せる. S = diag(s, s, s, 1). (14) 2.2 剛体変換 回転に並進を加えたものを剛体変換あるいはユーク 2.4 アフィン変換 リッド変換と呼ぶ.2 次元平面上の点 x = (x, y) から 正方形をひし形にするような変形をせん断変形と呼 2 次元平面上の点 x = (x , y ) への剛体変換は ぶ.すなわち,せん断変形とは直角性は保たれないが, 平行性は保たれるような変形である.このような変形 x = Rx + t, t = (tx , ty ) , (4) は,図形を平面上である角度回転した後,x 方向に拡大 と表される.ここで,t は新たに加えた 2 次元の並進ベ (あるいは縮小)し,その後もとの角度に逆回転するこ クトルであり,x 方向と y 方向の並進成分 tx , ty を持つ. とにより行うことが可能である.このような変形を行 式(4)は同次座標 x = (x, y, 1) を使えば,次のよ う行列 D は次のように表せる. うにひとつの行列により表すことができる.  cos ψ sin ψ 0  ρ 0 0  x = Z[HE x]. (5) D =  − sin ψ cos ψ 0   0 1 0  ここで,Z[ · ] はベクトルの第 3 成分を 1 とする正規化 0 0 1 0 0 1 作用素であり,HE は次のような 3 × 3 行列である.  cos ψ − sin ψ 0  R t  sin ψ cos ψ 0  . (15) HE = . (6) 02×1 1 0 0 1 空間中の点の同次座標を X = (x, y, z, 1) とすると, ここで,ρ は x 方向に関する拡大(縮小)率であり,ψ 3 次元の剛体変換は次のように表せる. は回転角である. X = Z[HE X]. (7) 2 次元の相似変換に対して,このようなせん断変形 D を加えたものがアフィン変換である.アフィン変換 Z[ · ] は 3 次元の場合は,ベクトルの第 4 成分を 1 とす は次のように表せる. る正規化作用素になる.HE は 3 次元回転行列 R と 3 次元並進ベクトル t からなる次のような 4 × 4 行列に x = Z[HA x]. (16) なる. ここで,HA は次のような 3 × 3 行列である. R t HA = HS D. (17) HE = , t = (tx , ty , tz ) . (8) 03×1 1 アフィン変換で新たに加えたせん断変形 D はせん断の 方向 ψ とせん断の大きさ ρ で決まるものであり,その自 2.3 相似変換 由度は 2 である.したがって,アフィン変換の自由度は 2 次元の剛体変換にスケール変換(拡大縮小)を加え 6 である.行列 HA を要素で表すと,第 3 行が (0, 0, 1) たものを 2 次元の相似変換と呼ぶ.2 次元平面上の点 x になり,その左上 2 × 2 行列が正則であるような自由度 に作用するスケール変換は水平および垂直方向に等倍 6 の任意行列であるとしてもよい. することであるから,次のような行列により表される. 3 次元のアフィン変換は次のように表せる. S = diag(s, s, 1). (9) X = Z[HA X]. (18)
  • 3. 図1 2 次元幾何学変換. a)回転, b)剛体, c)相似, d)アフィン, e)射影. ( ( ( ( ( HA は第 4 行が (0, 0, 0, 1) であり,その左上 3 × 3 行列 問題は誤差のあるデータ {xα } からパラメータ u を が正則であるような任意の 4 × 4 行列である. 推定することである.これはデータ空間の N 個の点に 多様体 S を当てはめる問題と解釈できる.この問題を 射影変換 幾何学的当てはめと呼ぶ [9]. 2.5 扇形に変形することを扇形変形と呼ぶ.扇形変形で は直線性は保たれるが,平行性や直交性は保たれない. 【例 1】2 次元/3 次元幾何学変換を推定する問題も典型 すなわち,扇形変形は平行線上の無限遠点を有限な点 的な幾何学的当てはめ問題であり,その場合,各デー に移動させるような変形である.このような変形は次 タは 2 次元画像上や 3 次元空間上の点の位置を表すベ のように表される. クトルである.例えば,第 1 画像上の点 (xα , yα ) と第 2 画像上の点 (xα , yα ) が対応すれば,その対応が 4 次元 x = Z[Bx]. (19) ベクトル z α = (xα , yα , xα , yα ) で表せる.3 次元空間 ここで,B は, 上の点 (xα , yα , zα ) と点 (xα , yα , zα ) が対応すれば,そ の対応が 6 次元ベクトル z α = (xα , yα , zα , xα , yα , zα )   1 0 0 B =  0 1 0, (20) で表せる.2 次元幾何学変換の場合,z α に対する独立 β γ 1 な方程式は 2 個であるから r = 2 となり,3 次元幾何学 である. 変換の場合,z α に対する独立な方程式は 3 個であるか 2 次元のアフィン変換に扇形変形を加えたものが 2 次 ら r = 3 となり,u はそれぞれ 2 次元/3 次元幾何学変 元射影変換である.射影変換は次のように表される. 換行列の要素を並べたベクトルである [9]. x = Z[Hx]. (21) 式(24)の F (k) は一般に x の複雑な非線形関数であ ここで,H はアフィン変換行列 HA と扇形変形行列 B るが,コンピュータビジョンに現れる多くの問題では, の積であり,次のように表せる. 未知パラメータ u に関しては線形であったり,パラメー H = HA B. (22) タを付け直して線形に表せることが多い.そのような 場合は式(24)が次の形に表せる. 射影変換は自由度 6 のアフィン変換に自由度 2 の扇形 変形を加えたものであるから,その自由度は 8 である. (ξ(k) (¯ α ), u) = 0, k = 1, . . . , r. x (25) 射影変換のもとでは,長さや角度のみでなく平行性も ここで,ξ ( · ) は m 次元ベクトルから p 次元ベクト (k) 保たれない. ルへの(一般に非線形の)写像である.以下,ベクト 行列 H は任意の 3 × 3 正則行列であるとしてもよい. ル a, b の内積を (a, b) と書く.u にはスケールの不定 3 × 3 行列には 9 個の要素があるが,すべての要素を定 性があるので u = 1 と正規化する. 数倍してもまったく同じ変換を表すことから,その自 【例 2】同一平面を異なる位置から撮影した 2 画像から 由度は 8 である. N 個の特徴点を抽出し,第 1 画像の点 (xα , yα ) が第 2 3 次元の射影変換は次のように表せる. 画像の点 (xα , yα ) に対応するとする.カメラの焦点距離 X = Z[HX]. (23) が十分大きい場合には,両者は 2 次元アフィン変換で結 H は任意の 4 × 4 正則行列である.4 × 4 行列には 16 個 ばれると見なせる.真の特徴点位置 {¯α , yα }, {¯α , yα } x ¯ x ¯ の要素があるが,すべての要素を定数倍してもまった は次の関係を満たす. く同じ変換を表すことから,その自由度は 15 である. x = Z[HA xα ]. ¯ ¯ (26) α ここで, 3 幾何学的当てはめ ¯ x ¯ ¯ xα = (¯α /f0 , yα /f0 , 1) , xα = (¯α /f0 , yα /f0 , 1) , x ¯ 3.1 幾何学的モデル   h11 h12 h13 N 個の m 次元データベクトル x1 , . . . , xN は,それ HA =  h21 h22 h23  , (27) らの誤差がないときの値 x1 , . . . , xN が未知の p 次元パ ¯ ¯ 0 0 h33 ラメータベクトル u をもつ r 個の拘束条件 であり,f0 は要素 hij のオーダーを揃えるためのほぼ画 F (k) (¯ α , u) = 0, x k = 1, . . . , r, (24) 像サイズの大きさの任意定数である.2 次元アフィン変 を満たすとする. これを(幾何学的)モデルと呼ぶ.デー 換行列 HA を誤差のあるデータ z α = (xα , yα , xα , yα ) タ {xα } の定義される空間 X をデータ空間,パラメー から推定する. タ u の定義される空間 U をパラメータ空間,r を拘束 ξ (1) (z α ) = (xα , yα , f0 , 03×1 , −xα ) , 条件のランクと呼ぶ.r 個の方程式(24)は x の方程 式として互いに代数的に独立で,データ空間 X に余次 ξ (2) (z α ) = (03×1 , xα , yα , f0 , −yα ) , 元 r の(代数)多様体 S を定義する. u = (h11 , h12 , h13 , h21 , h22 , h23 , h33 ) , (28)
  • 4. 図2 3 次元幾何学変換. a)回転, b)剛体, c)相似, d)アフィン, e)射影. ( ( ( ( ( と置くと,式(26)は式(25)の形に書ける.u はア データの誤差は小さいと仮定して,線形近似を用い フィン変換行列 HA の要素を並べたベクトルである.こ てラグランジュ乗数により拘束条件(25)を消去する れにより,データ空間 X が 7 次元空間 R7 の 4 次元(代 と式(32)は次のように書ける [9]. 数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は R7 N r の原点を中心とする 6 次元単位球面 S 6 となる. Wα (ξ (k) , u)(ξ α , u). (kl) (l) J= α (33) 【例 3】3 次元空間中の点 (xα , yα , zα ) が点 (xα , yα , zα ) α=1 k,l=1 に 対 応 す る 場 合 ,真 の 特 徴 点 位 置 を {¯α , yα , zα }, ただし, α は (u, V0 [ξ α ]u) を (kl) 要素とする r×r (kl) (kl) x ¯ ¯ W {¯α , yα , zα } とすると,3 次元アフィン変換は 2 次元の x ¯ ¯ 行列の逆行列の (kl) 要素であり,次のように書く2 . 場合同様,式(26)の関係を満たす.ただし, (kl) (kl) −1 Wα = (u, V0 [ξα ]u) . (34) ¯ xα = (¯α /f0 , yα /f0 , zα /f0 , 1) , x ¯ ¯ ここで,V0 [ξ α ] は ξ α の正規化共分散行列である. (kl) (k) ¯ xα = (¯α /f0 , yα /f0 , zα /f0 , 1) , x ¯ ¯ データの誤差は小さいと仮定しているから,V0 [ξ α ]   (kl) h11 h12 h13 h14 h h22 h23 h24  はデータ xα の正規化共分散行列 V0 [xα ] から線形近似 HA =  21  h31 h32 h33 h34  .  (29) によって次のように計算できる. (kl) (k) (l) 0 0 0 h44 V0 [ξα ] = xξ |x=xα V0 [xα ] xξ |x=xα . (35) 3 次元アフィン変換行列 HA を誤差のあるデータ z α = ただし, xξ (k) はξ (k) (x) の m × p ヤコビ行列である. (xα , yα , zα , xα , yα , zα ) から推定する. ξ(1) (z α ) = (xα , yα , zα , f0 , 04×1 , 04×1 , −xα ) , 【例 4】2 次元アフィン変換の場合,4 次元ベクトル z α = (xα , yα , xα , yα ) の正規化共分散行列 V0 [z α ] は,特 ξ(2) (z α ) = (04×1 , xα , yα , zα , f0 , 04×1 , −yα ) , に特徴的な誤差の現れ方をしない場合はデフォルト値と ξ(3) (z α ) = (04×1 , 04×1 , xα , yα , zα , f0 , −zα ) , して I 4×4 を用いる.データ {xα , yα }, {xα , yα } のいず u = (h11 , h12 , h13 , h14 , h21 , h22 , h23 , h24 , れか一方が誤差を含まない理想的な参照モデルの場合 h31 , h32 , h33 , h34 , h44 ) , (30) には,V0 [z α ] = diag(1, 1, 0, 0) あるいは diag(0, 0, 1, 1) とすればよい. と置くと,3 次元アフィン変換も式(25)の形に書ける. 3 次元アフィン変換の場合,6 次元ベクトル z α = これにより,データ空間 X が 13 次元空間 R13 の 6 次 (xα , yα , zα , xα , yα , zα ) の正規化共分散行列 V0 [z α ] は, 元(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 特に特徴的な誤差の現れ方をしない場合はデフォルト値 U は R13 の原点を中心とする 12 次元単位球面 S 12 と として I 6×6 を用いる. データ {xα , yα , zα }, {xα , yα , zα } なる. のいずれか一方が誤差を含まない理想的な参照モデ 3.2 最尤推定 ルの場合には,V0 [z α ] = diag(1, 1, 1, 0, 0, 0) あるいは 写像されたデータ ξ (k) , k = 1, . . . , r の誤差の挙動を α diag(0, 0, 0, 1, 1, 1) とすればよい. 記述する共分散行列を これらはいずれも誤差の分布が一様等方であること V [ξ α ] = 2 V0 [ξ α ], (31) を仮定しているが,センサによっては誤差の分布が不 とする.ただし,ξ α = (ξ (1) , . . . , ξ (r) ) として, 均一な非等方性であることは珍しくない [20, 21]. α α V0 [ξ α ], k, l = 1, . . . , r を並べた (p × r) × (p × r) 行列 (kl) 3.3 精度の評価と理論限界 である.以下,ξ (xα ) を ξ α と略記する. は誤差の (k) (k) 推定値 u の誤差 ∆u を次のように定義する. ˆ 絶対量を表す定数であり,ノイズレベルと呼ぶ.V0 [ξ α ] ∆u = P U u, P U = I p×p − uu . ˆ (36) は誤差のデータや方向への依存を定性的に表すもので ここで,P U は R において,点 u におけるパラメータ p あり,正規化共分散行列と呼んで既知とする. 空間 U の接空間 Tu (U) への直交射影行列である.I p×p 誤差がデータ毎に独立で正規分布に従うとすると, は p 次の単位行列である.これから推定値 u の共分散 ˆ {ξ α }, u の最尤推定は線形化された拘束条件(25)のも ¯ 行列が次のように定義できる. とでマハラノビス距離の二乗和 N V [ˆ ] = E[∆u∆u ]. u (37) J= (ξ − ξ α α ¯ , V0 [ξ ]−1 (ξ − ξ )), α α α ¯ (32) 式(37)は,具体的に次のように計算できる [9]. α=1 2 V [ˆ ] = u M− . p−1 (38) を最小にするように {ξ α }, u を推定することである1 . ¯(k) ズの)一般逆行列に置き換えれば成り立つ [9]. 2 式(33)の r 個の式が冗長で,r (< r) 個だけが独立な場合は, 1 データ が何らかの制約を受ける(例えば単位ベクトル (k) {ξα } 式(34)の逆行列をランク r の(標準形において大きい r 個以外 に正規化される)場合にも,逆行列 V0 [ξα ]−1 を(ムーア・ペンロー の固有値を 0 として計算する)一般逆行列に置き換えればよい [9].
  • 5. ただし,行列 M を次のように置いた. 【例 6】3 次元相似変換行列は 3 次元アフィン変換行列 N r (29)の左上 3 × 3 行列を S = sR としたものである. Wα ξ (k) ξα . S を次のように書く. (kl) (l) M= α (39) α=1 k,l=1   s11 s12 s13 u = 1 の正規化のためにランクが (p − 1) の(ムー S =  s21 s22 s23  = s1 , s2 , s3 . (46) ア・ペンローズの)一般逆行列となっていることに注 s31 s32 s33 意する. したがって,拘束条件は次のようになる. このとき,どのような推定方法で u を計算しても, ˆ データに誤差がある限り,V [ˆ ] がある値より小さくな u (s1 , s2 ) = 0, (s2 , s3 ) = 0, (s3 , s1 ) = 0, らない.すなわち,精度には超えることができない理 2 2 2 s1 = s2 , s2 = s3 2 . (47) 論的な限界が存在する.これを式で書くと,次のよう 式(30)の 3 次元アフィン変換を表す 13 次元ベクトル になる [9]. u の要素を用いると,3 次元相似変換行列における内部 V [ˆ ] u 2 ¯ − M . (40) p−1 拘束式は次のような 2 次同次式で書ける. 記号 は左辺引く右辺が半正値対称行列であること φ1 (u) = h11 h21 + h12 h22 + h13 h23 = 0, を表す.行列 M は式(39)の M をデータの真値 xα ¯ ¯ φ2 (u) = h21 h31 + h22 h32 + h23 h33 = 0, を用いて計算した値である.式(40)の右辺は KCR φ3 (u) = h31 h11 + h32 h12 + h33 h13 = 0, (Kanatani-Cram´r-Rao)下界と呼ばれる [2].最尤 e 推定を行えば,KCR 下界が O( 4 ) の項を除いて等号 φ4 (u) = h2 + h12 + h2 − h21 − h2 − h23 = 0, 11 2 13 2 22 2 で成立する [9].最尤推定はこの意味で最適な推定法で φ5 (u) = h2 + h22 + h2 − h31 − h2 − h33 = 0. (48) 2 2 2 21 23 32 ある. これにより,データ空間 X が 13 次元空間 R13 の 6 次 元(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は R13 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, . . . , 5 で定義 4 幾何学変換の統一的な最適計算 される 7 次元(代数)多様体となる. 4.1 内部拘束 【例 7】2 次元剛体変換行列は,拘束条件 RR = I を u にはスケールの不定性があるので u = 1 と正規 満たさなければならない.回転行列 R を次のように書 化するが,これは一つの内部拘束である.そして,こ くと, れ以外に u に次の q 個の内部拘束が存在するとする. r11 r12 φm (u) = 0, m = 1, . . . , q. (41) R= = r1 , r2 , (49) r21 r22 これら q 個の式は代数的に独立であるとする.式(41) 拘束条件は次のようになる. はスケール不定の u に対して成立するとし,各 φm (u) 2 は κm 次同次式であると仮定する [12].最尤推定量 u は ˆ (r 1 , r 2 ) = 0, r1 = r2 2 , r1 2 = 1. (50) 式(33)を内部拘束 u = 1, φm (u) = 0, m = 1, . . . , q 式(28)の 2 次元アフィン変換を表す 7 次元ベクトル のもとで最小化することになる. u の要素を用いると,2 次元剛体変換行列における内部 拘束式は,2 次元相似変換における内部拘束式(45)と 【例 5】2 次元相似変換行列は 2 次元アフィン変換行列 次のような 2 次同次式になる. (26)の左上 2 × 2 行列を S = sR としたものである.2 φ3 (u) = h2 + h22 − h33 = 0. 2 2 (51) 次元相似変換行列は次の内部拘束を満たさなければな 21 これにより,データ空間 X が 7 次元空間 R の 4 次元 7 らない. (代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は SS = (sR)(sR) = s2 RR = s2 I. (42) R7 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, 2, 3 で定義される ここで,I は 2 次の単位行列である.S を次のように 3 次元(代数)多様体となる. 書く. 純粋な 2 次元回転変換行列は,並進ベクトル t = s11 s12 (h13 , h23 ) = 02×1 になり,データおよびパラメータ 空間はそれぞれ 5 次元空間 R5 に縮退するが,内部拘 S= = s1 , s2 . (43) s21 s22 したがって,拘束条件(42)は次のようになる. 束式は式(45) 51)と同じである. ( (s1 , s2 ) = 0, s1 2 = s2 2 . (44) 【例 8】3 次元剛体変換行列は,回転行列 R を次のよう 式(28)の 2 次元アフィン変換を表す 7 次元ベクトル に書くと, u の要素を用いると,2 次元相似変換行列における内部   r11 r12 r13 拘束式は次のような 2 次同次式で書ける. R =  r21 r22 r23  = r 1 , r 2 , r 3 , (52) r31 r32 r33 φ1 (u) = h11 h21 + h12 h22 = 0, 拘束条件は次のようになる. φ2 (u) = h2 + h2 − h2 − h2 = 0. 11 12 21 22 (45) (r 1 , r 2 ) = 0, (r 2 , r 3 ) = 0, (r 3 , r 1 ) = 0, これにより,データ空間 X が 7 次元空間 R7 の 4 次元 (代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 U は 2 2 2 r1 = r2 , r2 = r3 2 , r1 2 = 1. (53) R7 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, 2 で定義される 4 式(30)の 3 次元アフィン変換を表す 13 次元ベクトル 次元(代数)多様体となる. u の要素を用いると,3 次元剛体変換行列における内部 拘束式は,3 次元相似変換における内部拘束式(48)と
  • 6. 次のような 2 次同次式になる. 6. 固有値問題 φ6 (u) = h2 11 + h2 12 + h2 13 − h2 44 = 0. (54) Y v = λv, (62) これにより,データ空間 X が 13 次元空間 R13 の 6 次 の小さい q + 1 個の固有値に対する単位固有ベクト 元(代数)多様体として埋め込まれ,パラメータ空間 ル v 0 , . . . , v q を求める. U は R13 の u = 1, φm (u) = 0, m = 1, . . . , 6 で定義 7. 現在の解 u を次のように {v 0 , . . . , v q } に射影した される 6 次元(代数)多様体となる. u を計算する. ˆ 純粋な 3 次元回転変換行列は,並進ベクトル t = q (h14 , h24 , h34 ) = 03×1 になり,データおよびパラメー ˆ u= (u, v m )v m . (63) タ空間はそれぞれ 10 次元空間 R10 に縮退するが,内部 m=0 拘束式は式(48) 54)と同じである. ( 8. 次の u を計算する. u = N [P V u]. ˆ (64) u = 1 以外の内部拘束が存在する場合の推定値 u ˆ N [ · ] は単位ベクトルへの正規化作用素である の共分散行列は次のようになる [9]. (N [a] = a/ a ). 9. u ≈ u なら u を返して終了する.そうでなけれ − 2 V [ˆ ] = u P UMP U . (55) p−q−1 ば,u ← N [u + u ] としてステップ 2 に戻る. ここで,射影行列 P U は,内部拘束 φm (u) の勾配ベク トル u φ1 (u), . . . , u φq (u) にシュミットの直交化を施 q = 0 とすると,P V = I p×p であり,u は Y の最小固 有値に対する固有ベクトルとなり,通常の u = 1 以 した正規直交系 {u1 , . . . , uq } を用いると次のように書 外の内部拘束が存在しない場合の FNS 法に帰着する. ける. 最小二乗法 q 4.3 P U = I p×p − um um − uu . (56) 拡張 FNS 法の反復には初期値が必要であるが,u に は内部拘束が存在する.よく用いられる簡略化は, u m=1 ただし,p 次元ベクトル u が内部拘束を受けて,パラ = 1 の正規化以外の制約を無視することである.近似 メータ空間 U が p 次元空間 Rp の (p − q − 1) 次元多様 解を求めるのによく用いられるのは,最小二乗法であ 体となるため,式(39)の行列 M を P U M P U に置き る.式(33)で Wα = δkl (クロネッカのデルタ:k (kl) 換え,ランクが (p − q − 1) の(ムーア・ペンローズの) = l で 1,それ以外で 0)と置くと次のようになる. 一般逆行列になる. N r (k) JLS = (ξ α , u)2 . (65) 4.2 拡張 FNS 法 α=1 k=1 式(33)を u で微分すると次のようになる [19]. これは次のように変形される. u J = 2(M − L)u. (57) N r (k) (k) ここで,行列 M は式(39)であり,行列 L は次のよ JLS = u ξ α ξα u = (u, MLS u). (66) うに置いた. α=1 k=1 N r ただし,次のように置いた. (k) (l) (kl) N r L= vα vα V0 [ξ α ]. (58) (k) (k) α=1 k,l=1 MLS = ξα ξα . (67) α=1 k=1 上式中の vα は次のように定義する. (k) 式(66)は u の 2 次形式であるから,これを最小化す る単位ベクトル u は(2 次)モーメント行列 MLS の最 r (k) vα = Wα (ξ (l) , u). (kl) (59) 小固有値に対する単位固有ベクトルである [9]. α l=1 式(33)を最小にするには式(57)より (M − L)u = 0 を解けばよく,固有値問題を反復して解く FNS 法 [3] 5 シミュレーション実験 を用いることができるが,u には内部拘束が存在する 図 3 のように曲面格子をその中心の格子点が世界座 ので,内部拘束を自動的に満たすように FNS 法を拡張 標の原点にあるように配置し,その後,原点を通るあ した拡張 FNS 法 [12] の手順を以下に示す. る回転軸の周りに回転し,平行移動し,スケールを変 える.そして,ステレオ視によって各格子点の相似変 1. u の初期解を与える. 換前後の 3 次元位置を計測する.2 台のカメラは曲面格 2. 式(39) 58)の行列 M , L を計算する. ( 子を 10 度で見込む位置に配置している.画像サイズは 3. 内部拘束の勾配ベクトル u φ1 (u), . . . , u φq (u) を 500 × 800 画素,焦点距離は 600 画素を想定している. 計算し,これにシュミットの直交化を施した正規 各格子点を対応点として,その x, y 座標に期待値 0, 直交系 {u1 , . . . , uq } を求める. 標準偏差 σ 画素の正規乱数を加え,それぞれ Kanatani 4. 次の射影行列 P V を計算する. らの方法 [13] で各格子点の 3 次元位置を最適に計算す る.3 次元復元位置をデータとして,その正規化共分散 q P V = I p×p − 行列を Niitsuma らの方法 [21] で予測して,前節で述 um um . (60) べた拡張 FNS 法を適用して 3 次元相似変換行列を計算 m=1 5. 次の行列 Y を計算する. する.拡張 FNS 法の初期値には,前節で述べた制約を Y = P V (M − L)P V . (61) 無視した最小二乗法による解を用いる.
  • 7. 図3 3 次元相似変換(回転,並進,スケール変化) する曲面格子物体のステレオ視による 3 次元計測とそ の誤差楕円体.奥行き方向の復元誤差が大きい(誤差 分布の不均一性) . 図5 ステレオ画像に加えた標準偏差 σ の誤差に対す る拡張 FNS 法(EFNS) LM 法(LM) , ,最小二乗法 (LS)による 3 次元相似変換行列の RMS 誤差と KCR 下界(KCR) . 【3 次元相似変換前】 図6 拡張 FNS 法の反復過程における当てはめ残差 J (左)と拘束条件 φm (u)(右)の変化. 【3 次元相似変換後】 考慮していないため非常に精度が低い.それに対して 図4 曲面格子の相似変換前後のステレオ画像. 拡張 FNS 法は LM 法とほぼ同じであり,精度の理論限 計算した 3 次元相似変換行列を式(30)の単位ベク 界にほぼ到達していることがわかる.図 6 は σ = 1 の トル u の形に表し,その誤差を式(36)より計算する. 場合の代表的な例に対して,拡張 FNS 法による当ては これを各 σ で誤差を変えて 1000 回づつ試行し,その平 め残差 J と拘束条件 φm (u), m = 1, . . . , 5 の収束の様 方平均二乗(RMS)誤差を次のように評価する. 子を反復回数に対してプロットしたものである.すべ 1000 ての拘束条件が急速に 0 に収束している. E= 1 P U u(a) 2 . ˆ (68) 図 7 は σ を横軸に取って拡張 FNS 法,LM 法,最小 1000 a=1 二乗法によるパラメータ毎の RMS 誤差 ER , Et , Es を プロットしたものである.これから分かるように最小 ただし u(a) は a 回目の試行の 3 次元相似変換行列の解 ˆ 二乗法では,すべてのパラメータにおいて精度が極め のベクトル表現であり,P U は式(56)の射影行列であ て低い.LM 法,拡張 FNS 法を用いると精度が著しく る.3 次元相似変換における拘束条件は式(48)より得 向上する. られる.式(55)の両辺の平方根を取り,式(37)より trV [ˆ ] = E[ ∆u 2 ] であることに注意すると,3 次元 まとめ u 相似変換行列における RMS 誤差の KCR 下界が次のよ 6 うに得られる. コンピュータビジョンに現れる 2 次元/3 次元幾何学 変換,幾何学的当てはめ問題,最尤推定,推定精度の評 − E[ ∆u 2] ≥σ ¯ tr P U M P U . (69) 7 価と理論限界についてまとめた.2 次元/3 次元幾何学 比較のために,回転を特異値分解により計算する最小二 変換のパラメータの拡張 FNS 法による統一的な最適計 乗法 [20, 21],リー代数により表現することによるレー 算の方法を示した.ステレオ視による 3 次元復元デー ベンバーグ・マーカート(LM)法 [20] を適用する. タにおける 3 次元相似変換のシミュレーション実験を そして,3 次元相似変換における回転行列,並進,ス 行い,拡張 FNS 法により得られた解が推定精度の理論 ケール変化を R, ˆ s とし,それらの真値を R, ¯ s と ˆ t, ˆ ¯ t, ¯ 限界を達成することを示した.当てはめ残差や拘束条 するとき,回転の誤差は相対回転 R ˆ R−1 の回転角を δΩ ¯ 件の収束の挙動を観察し,最小二乗法,レーベンバー (° )で評価し,並進,スケール変化の誤差をそれぞれ グ・マーカート法との比較も行った. δt = ˆ − ¯ δs = s − s として評価する.拡張 FNS 法に t t, ˆ ¯ 拡張 FNS 法は,2 次元/3 次元幾何学変換のモデル毎 よる 3 次元相似変換行列は特異値分解により回転行列 に巧妙なパラメータ化による複雑な式変形を行わなく とスケール変化に分解して評価する. とも,単に代数的な拘束条件式さえ書き下せば,同一の 図 5 はステレオ画像に加えた標準偏差 σ の誤差に対 計算手順によって拘束条件を課した部分モデルの最適 する拡張 FNS 法,LM 法,および最小二乗法による 3 な推定結果が得られる.拘束条件が複数ある場合にも 次元相似変換行列の RMS 誤差 E を KCR 下界ととも 対応が可能なため,相当に適用範囲が広い.拡張 FNS にプロットしたものである.これから分かるように最 法により推定した複数の異なる部分モデルから最適な 小二乗法は 3 次元復元データの誤差分布の不均一性を モデルを選択することも可能である.
  • 8. (a) (b) (c) 図7 ステレオ画像に加えた誤差の標準偏差 σ に対する(a)回転, b)並進, c)スケール変化の RMS 誤差. ( ( 謝辞: 長年に渡り御指導頂いた岡山大学大学院 金谷健 [15] Y. Leedan and P. Meer, Heteroscedastic regres- 一教授に感謝します. sion in computer vision: Problems with bilinear constraint, Int. J. Comput. Vision., 37-2 (2000), 127–150. 参考文献 [16] 松永 力, 金谷 健一, 平面パタンを用いる移動カメ ラの校正:最適計算,信頼性評価,および幾何学 ¨ u 的 AIC による安定化, 電子情報通信学会論文誌 A, [1] M. Acar, M. T. Ozl¨demir, O. Akyilmaz, R. N. J83-A-6 (2000-6), 694–701. Celik and T. Ayan, Deformation analysis with total least squares, Nat. Hazards Earth Syst. Sci., [17] 松永 力, 水平線検出による船体動揺映像の安定化, 6-4 (2006-6), 663–669. 第 15 回画像センシングシンポジウム (SSII2009) [2] M. Chernov and C. Lesort, Statistical efficiency 講演論文集, 横浜 (パシフィコ横浜). of curve fitting algorithms, Comput. Stat. Data [18] 松永 力, 趙 延軍, 和田 雅徳, カラーチャートを用 Anal., 47-4 (2004-4), 713–728. いた複数の再撮モニタとカメラの最適色補正, 第 [3] W. Chojnacki, M. J. Brooks, A. van den Hengel 16 回画像センシングシンポジウム (SSII2010) 講演 and D. Gawley, On the fitting of surfaces to data 論文集, 横浜 (パシフィコ横浜). with covariances, IEEE Trans. Patt. Anal. Mach. [19] 新妻 弘崇, 金谷 健一, 最適な射影変換の新しい 計算アルゴリズム, 情報処理学会研究報告, 2009- Intell., 22-11 (2000), 1294–1303. [4] A. J. Davison, I. D. Reid, N. D. Molton and CVIM-169-37, (2009-11), 金沢市 (金沢工業大学), O. Stasse, MonoSLAM: Real-time single camera 1–8. SLAM, IEEE Trans. Patt. Anal. Mach. Intell., 29-6 (2007), 1052–1067. [20] H. Niitsuma and K. Kanatani, Optimal compu- tation of 3-D similarity from space data with in- [5] M. Irani, B. Rousso and S. Peleg, Recovery of homogeneous noise distributions, 第 17 回画像セ ego-motion using region alignment, IEEE Trans. ンシングシンポジウム (SSII2011) 講演論文集, 横 浜 (パシフィコ横浜). Patt. Anal. Mach. Intell., 19-3 (1997), 268–272. [6] 金澤 靖, 金谷 健一, 幾何学的 AIC による画像モ [21] H. Niitsuma and K. Kanatani, Optimal com- ザイク生成の安定化, 電子情報通信学会論文誌 A, putation of 3-D rotation under inhomogeneous J83-A-6 (2000-6), 686–693. anisotropic noise, Proc. 12th IAPR Conf. Ma- [7] K. Kanatani, Group-Theoretical Methods in Im- chine Vision Appl. (MVA 2011), Nara, Japan, age Understanding, Springer-Verlag, Berlin, Ger- 112–115, June 2011. many, January 1990. [22] J. Novatnack and K. Nishino, Scale-dependent [8] K. Kanatani, Geometric Computation for Ma- /invariant local 3D shape descriptors for fully chine Vision, Oxford University Press, Oxford, automatic registration of multiple sets of range U.K., June 1993. images, Proc. 10th Euro. Conf. Comput. Vision, [9] K. Kanatani, Statistical Optimization for Geo- Florence, Italy, Part III, 440–453, October 2008. metric Computation: Theory and Practice, Else- [23] N. Ohta and K. Kanatani, Optimal estimation vier Science, Amsterdam, The Netherlands, 1996; of three dimensional rotation and reliability eval- reprinted Dover Publications, New York, U.S.A., uation, IEICE Trans. Inf. & Syst., E81-D-11 2005. (1998-11), 1247–1252. [10] 金谷 健一, コンピュータビジョンのためのくりこみ [24] 岡谷 貴之, バンドルアジャストメント, 情報処理学 法, 情報処理学会論文誌, 35-2 (1994-2), 201–209. 会研究報告, 2009-CVIM-167-37 (2009-6), 1–16. [11] 金谷 健一, 「空間データの数理 – 3次元コンピュー [25] 佐藤 淳, 「コンピュータビジョン – 視覚の幾何学 ティングに向けて –」, 朝倉書店, 1995 年 3 月. –」, コロナ社, 1999 年 5 月. [12] 金谷 健一, 菅谷 保之, 制約付きパラメータ推定の [26] Y. Sugaya and K. Kanatani, High accuracy com- ための拡張 FNS 法, 情報処理学会研究報告, 2007- putation of rank-constrained fundamental ma- CVIM-158-4, (2007-3), 鹿児島市 (鹿児島大), 25– trix, Proc. 18th British Machine Vision Conf. 32. (BMVC2007), Coventry, U.K., Vol.1, 282–291, [13] K. Kanatani, Y. Sugaya and H. Niitsuma, Trian- September 2007. gulation from two views: Hartley-Sturm vs. opti- [27] Y. Sugaya and K. Kanatani, Highest accu- mal correction, 第 14 回画像センシングシンポジウ racy fundamental matrix computation, Proc. ム (SSII2008) 講演論文集, 横浜 (パシフィコ横浜). 8th Asian Conf. Comput. Vision (ACCV2007), [14] K. Kanatani and Y. Sugaya, Implementation and Tokyo, Japan, Vol. 2, 311–321, November 2007. evaluation of bundle adjustment for 3-D recon- [28] Z. Zhang, A flexible new technique for camera struction, 第 17 回画像センシングシンポジウム calibration, IEEE Trans. Patt. Anal. Mach. In- (SSII2011) 講演論文集, 横浜 (パシフィコ横浜). tell., 22-11 (2000), 1330–1334.