高等学校での「プログラミング」教育の導入 – PENを用いて
中村 亮太* 西田 知博** 松浦 敏雄***
*大阪府立泉北高等学校 **大阪学院大学 情報学部 ***大阪市立大学 大学院創造都市研究科
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概要
プログラミングは一般に難しいものと考えられ,高等学校において教えられていることはまれである.
しかし,適切なサポートツールを用意することで,生徒が比較的短い時間でプログラミングとは何かを学
び,コンピュータの本質を理解することは可能であると考える.そこで我々は,大阪府立泉北高等学校に
おいて,1 年生を対象とした総合科学 I,および 2 年生を対象とした情報 A の授業で,初学者用プログラ
ミング環境 PEN を用いてプログラミング教育を実践した.ここでは,その授業の内容とアンケート結果
および考査結果を報告する.
Programming Education at a High School with PEN
Ryota Nakamura* Tomohiro Nishida** Toshio Matsuura***
*Semboku High School **Faculty of Informatics, Osaka Gakuin University ***Graduate School for
Creative Cities, Osaka City University
Abstract
Programming is generally considered a difficult subject and often not taught at all in high schools. However,
with an appropriate support tool, we believe that it will not take a long time for students to understand what is
programming and essential characteristics of computers. One of the authors conducted programming lessons in
the subject of “Comprehensive Science I” (for first grade) and “Information A” (for second grade) at Semboku
High School with PEN: Programming Environment for Novices. In this paper, we report the lessons and the
results of the questionnaire and the examination.
1 はじめに ログラマの養成を目指すのではなく,プログラミン
グとは何かを理解し,コンピュータの本質を理解す
情報教育は,高等学校を始めとした初等中等教育 ることと定めるならば,適切なサポートツールを用
でも行われるようになり,その裾野は広がってきて 意することで,比較的短い時間でこの目標を達成で
いる.しかし,その内容は「情報自体の理解」を重 きると考えた.我々は,そのツールとして初学者用
視し,コンピュータ等の情報機器の利活用教育が中 プログラミング環境 PEN (Programming Environment
心となっているのが現実である.しかし,社会に普 for Novices)[2] を構築し,2005 年度から大学の授業
及している情報システムの特性を理解するためは, において用い,実践を重ねてきた [3][4][5].その結
中等教育の段階から,単に使うだけではなく,プロ 果として,文系の学生を対象とした 3 コマ程度の短
グラミングなどを通じて,コンピュータの自動処理 期間の授業において,JavaScript を用いたクラスと
のメカニズムを自分で体験することにより,
「情報処 比べてプログラミング理解度が高くなるなど,PEN
理」の本質を学ぶことも不可欠である [1]. のプログラミング入門教育における有用性が確認で
一方で,プログラミングは大学においてでさえ教 きている.
育されない場合が多い.この理由としては,プログラ これらの実践は,大学においてのものであるが,
ミング言語は難しいものであり,その習得には多く 我々は,上に述べたようにプログラミングの入門教
の時間が必要と思われていることが挙げられる.し 育は,中学,高校などより早い時期に行うことが望
かし,プログラミングの入門教育の目標を,職業プ