生成AI普及しても計算力、外国語学習は「必要」が多数派 民間調査

生成AI普及しても計算力、外国語学習は「必要」が多数派 民間調査
iStock.com/takasuu
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 生成AIがあっても、基本的な計算力や外国語を話す能力は「必要」--。公益財団法人スプリックス教育財団はこのほど、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」の結果を公表した。生成AIの普及による翻訳機能の進化などを受け、特に子どもたちの「外国語を学ぶ意欲が薄れているのではないか」といった懸念が示されているが、同調査結果では、日本の小学4年生の8割近くが外国語学習の必要性を感じていることが分かった。

 同調査は、今年4月から7月にかけて、インターネットパネル調査と、一部の調査参加校の教室および自宅での実施を併用して行われた。調査対象は、世界8カ国(日本、米国、英国、フランス、中国、ネパール、インドネシア、南アフリカ)の小学4年生および中学2年生相当の子どもと、その保護者。回収サンプル数は、小学4年生・中学2年生とその保護者の合計で約3200だった。

 今回の調査では、生成AIの影響を把握するため、設問の冒頭で「生成AIを使えば、いろいろな問題を解決でき、海外の言語で書かれた文章も訳してくれる」と前置きした上で、「基本的な計算ができる能力」と「外国の言語を話せる能力」の必要性を尋ねた。その結果、全ての調査国において、両方のスキルを「必要」だと回答した子どもが過半数に達した。

 小学4年生のそれぞれの能力についての結果を見ていくと、「基本的な計算力」は日本とフランスを除いた、5カ国で8割以上の子どもが「必要」と回答。「外国語を話す能力」は、中国、ネパール、南アフリカの3カ国で肯定の回答が8割を超えており、世界的には「外国語を話す能力」よりも「計算力」の重要性が高いと認識されている傾向が見られた。

 日本の小学4年生に絞ると「基本的な計算力」については75.9%、「外国語を話す能力」については77.2%が「必要」と回答した。一方、日本の小学4年生の保護者の回答では、「外国語を話す能力」(80.0%)よりも「基本的な計算力」(85.7%)の必要性の認識が5.7ポイント上回っていた。

 また、「外国語を話す能力」の必要性については、国ごとに傾向が分かれた。米国や英国などの英語圏では、「基本的な計算力」の必要性の認識が「外国語を話す能力」よりも約10ポイント高く、外国語学習の優先度が相対的に低い傾向が見られた。

 一方、日本やフランスの非英語圏の子どもたちは、「外国語を話す能力」を「基本的な計算力」と同程度、あるいはやや高く評価している。

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