小中高生の自殺、529人で過去最多 25年版自殺対策白書

小中高生の自殺、529人で過去最多 25年版自殺対策白書
iStock.com/mapo
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 政府は10月24日、2025年版の「自殺対策白書」を閣議決定した。24年の小中高生の自殺者数は529人で、統計のある1980年以降で過去最多。10~20代 の若者の自殺未遂では、市販薬などを大量服薬するオーバードーズ(OD)が多くを占めていることが分かった。10~20代の自殺率は先進7カ国(G7)で日本が最も高く、深刻な状況が続いている。

 白書によれば、2024年に国内で自殺した人は2万320人(前年に比べ1517人減)。このうち、小・中・高・大学生に専修学校生等を加えた「学生・生徒」の自殺者数は1077人(同58人増)だった。

 学生・生徒の内訳は、▽小学生 15人(同2人増)▽中学生 163人(同10人増)▽高校生 351人(同4人増)▽大学生 434人(同24人増)▽専修学校生等 114人(同18人増)――だった。中高生の自殺者数はコロナ禍の20年以降、高止まりしている。

 学生・生徒を男女別に見ると、男性は591人(同19人増)、女性は486人(同39人増)。男性では大学生が前年比32人増で増加が目立ち、女性では中学生・高校生が前年に比べ、それぞれ19人増えていた。 

 自殺の原因・動機は、15~19歳では「学校問題」が346件でトップ。次いで「健康問題」が286件、「家庭問題」が148件に上った。男女別に見ると、男性は「学校問題」が169件、女性は「健康問題」が192件で最も多かった。

 こうした状況を受け、白書では若者の自殺を巡る状況について分析している。その中で、無業者を含めた15~19歳の自殺者数では、24年に男性の313人を女性の347人が上回るなど女性が顕著に増加していた。

 また、10~20代の女性自殺者には未遂歴のある割合が高いことを指摘。救命救急センターの自傷・自殺未遂に関する症例登録システム「JA-RSA」のデータによれば、22年12月~24年12月31日に登録された15~39歳の症例のうち、自殺未遂の手段ではODが66.5%を占め最多だったと報告している。

 白書では若者の自殺増加の背景として、多感な時期に新型コロナ禍に直面し、家庭や学校環境の変化を経験したことの影響を指摘。子どもや若者の自殺予防に向け、死因究明制度と連動した調査研究のほか、SOSの出し方に関する教育を推進。OD対策や自殺未遂者への支援として、学校薬剤師などに向けた対応マニュアルや啓発動画の作成、SNSを使った相談事業など、包括的な支援に取り組むとしている。

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